「NPT再検討会議の議論の特徴」について

        土田 弥生 日本原水協事務局次長

 6月23日、非核の政府を求める会核問題調査専門委員会がオンラインで開かれ、日本原水協事務局次長の土田弥生さんが、「NPT再検討会議の議論の特徴」と題して報告しました。土田さんの報告要旨を紹介します。(文責編集部)

 今回の第11回核不拡散(NPT)条約再検討会議は、3回続けて最終文章が出ないこととなりました。
 NPTは、核兵器国は第6条のもとで誠実に核軍備撤廃の交渉をする義務を負い、非核兵器国には核兵器を保有、製造しない義務があり、代わりに原子力の平和利用の権利が認められている、このグランドバーゲン自体が危機的な状況です。その理由はひとえに核兵器国が義務と約束を履行しないことにありました。
 日本にいれば
NPTは決裂」とニュースで流れて、もうダメだと悲観的になる人もいたと思うのですが、今回は日本原水協代表団と原水禁、日本被団協、日本生協連が共同でサイドイベントをやったのですが、みなさん元気です。というのは国連と各国政府と世界の市民社会が一致団結して何とかしようといろいろな行動を展開したわけです。今は困難な情勢であるけれども、この共同の力で核兵器廃絶実現の道へ進むことができるという確信を得ることができました。
 国連のグテーレス事務総長は開会のあいさつで、「各国は、条約にもとづく約束を留保なしに、条件なしに、遅滞なく、言い訳なしに守らなければなりません。今こそ、平和への唯一の真の道として、軍縮と不拡散へのコミットメントを再確認すべき時です」と素晴らしい発言をしました。
 日本原水協はNGOセッションで発言しました。一つ目は、現在の非核兵器国に対する核兵器保有国による一切の武力行使、核施設への攻撃、占拠などを直ちに止めること。二つ目は、過去の再検討会議の核兵器をなくす等のすべての合意を再確認すること。そして三つ目は、「核抑止」「核共有」「核の傘」など核兵器の使用、威嚇を前提とした一切の政策を排除すること、です。
 これらは、今回の会議で核兵器国らが成果文書案から削ってきた点なんです。だから私たちは的をついた確信的なことを発言することができたと思っています。中満さんは「核兵器禁止条約(TPNW)とNPTというのは両輪だ。この二つで核兵器のない世界を実現するしかない」と言っていました。
 最終日の議論でアメリカは「NPTは核不拡散条約であり核軍縮条約ではない」と言い、ロシアは、自国の核兵器の究極的かつ完全な廃絶という形で「究極的」を入れ込みました。「緊急性」を削除したのがイギリスとフランスです。
 議長は、文書はコンセンサスには達しない、だから会議は文章を採択する立場にはないとして採択に付さなかったわけです。その後すぐに46ヵ国が意見表明しました。
 新アジェンダ連合は、「完全かつ究極的」という文言は駄目だとし、第6条の義務や約束の履行に関するいかなる条件、新たな基準とかニューノーマルというものはなしだと。95年、2000年、2010年に合意された決定と約束はこういうことの影響は受けない。それらは今も今後もそれらが全面的に実際に履行されるまで引き続き有効であると言いました。メキシコは、非核兵器国は自らの義務と約束を履行しており、今後もそうし続けると言いました。
 国同士の交渉では限界があり、世界の市民社会の役割が重要です。11月末からTPNWの再検討会議であります。それに向けて世界の運動体が一致団結してTPNWへの流れを強めていこうと決意しています。