第39回全国総会で議案を補強した岩井孝元日本原子力研究開発機構研究員の発言(要旨)は以下のとおりです。
「原発回帰」は、百害あって一利なし

 今年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画は、産業界の意向を受けて、「脱炭素」を口実に、新しい原発の新増設を明確に打ち出し、「原発回帰」を宣言しています。これは、14年前の福島第一原発事故の教訓を投げ捨て、今も数万人の方が故郷に戻れないことも忘れたかのような計画です。
 政府は、使用済燃料を再処理して取り出したプルトニウムをMOX燃料に加工して既設の原発で使用するプルサーマルの推進に固執しています。原発内の使用済燃料プールが満杯になると、原発の運転はできません。使用済燃料を金属容器に封じ込める乾式貯蔵の設備が各原発サイトやむつ市などに建設されていますが、地元には「再処理工場に持ち出すまでの一時貯蔵」と説明しており、再処理を止めるわけにはいかないのです。様々な危険を引き起こすプルサーマルは、「百害あって一利なし」の愚かな政策です。
 プルトニウムは「負の遺産として処分すべきもの」という流れが世界に広がっています。イギリスでは、民生用のプルトニウム、約100㌧を地中処分することを国の方針にしました。イギリスに使用済燃料の再処理を委託しているイタリアも、イギリスに処分を依頼する方針です。アメリカも民生用プルトニウムは地中処分する政策を採用しています。日本も、プルトニウムの利用を止め、当面は安全を確保して保管すべきです。
 核燃料サイクルから撤退すれば、使用済燃料も放射性廃棄物になりますが、当面は、原発サイトで保管することになります。原発の運転を続けると、使用済燃料が増え続けるので、国民的議論は始めようがありません。その議論を進めるためには、すべての原発の運転を停止し、これ以上、使用済燃料が増えない状況を実現することが大前提となります。その上で、時間をかけて国民的合意に至ることをめざしましょう。
 原発回帰政策を撤回させ、原発をなくして、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの最大限活用をめざす日本にしていこうではありませんか。