
非核の政府を求める会は7月4日、東京都内の会場とオンラインを併用して40周年記念座談会とともに、第40回全国総会を開き、新活動方針と「国民のみなさんへのアピール」を採択、81人の世話人と27人の常任世話人など新役員を選出しました。
岩井孝、佐々木悦子両常任世話人が座長を務め、「みやぎ県民の声」宮城県議会議員の佐々木功悦常任世話人が開会あいさつ。全日本教職員組合中央執行委員長の檀原毅也さんが常任世話人会を代表して総会議案を提案しました。全国総会で採択された活動方針は次の通りです。
非核の政府を求める会 第40回全国総会議案
はじめに――結成40年記念の総会
世界も日本も大きな歴史の岐路の最中、非核の政府を求める会は40周年を迎えた。1970~80年代に米ソ両国が核軍拡競争をくり広げ、日本政府が被爆国でありながら米軍の核使用戦略を容認する姿勢に固執するもとで、わが会は1986年5月19日、核戦争の不安と日本の核戦場化の危険の根絶を願う団体・個人による非政府組織(NGO)として結成された。
以来、会は日本国憲法が掲げる平和主義の実践こそが核戦争防止と核兵器廃絶への道との立場で、「非核5項目」を掲げ、思想・信条、支持政党の違いをこえた国民の共同の輪を広げ、「非核の政府」の実現をめざしてきた。「核抑止」論、米国の「核の傘」からの脱却を求め、日米「核密約」を徹底追及してきた。
広島・長崎の被爆者、市民社会と各国政府の努力が結実した核兵器禁止条約(TPNW)は、「非核5項目」と響きあっている。今日、国民の約7割が日本の条約参加を求めており、地方議会の意見書・決議採択は753に達し(2026年6月20日現在)、「非核宣言自治体」は全自治体の97・4%に上る。「非核の政府」の実現への大きな接近となる条約参加へ、当会の役割発揮が強く求められている。
今総会は、核保有国のアメリカとロシア、イスラエルなどによる国連憲章や国際法を無視した軍事攻撃がつづき、第二次世界大戦後の国際秩序が踏みにじられるもと、核兵器廃絶と平和な国際秩序確立の課題がいよいよ重要になっているなかで開かれる。発効から5年を経て署名・批准・加盟が国連加盟国の過半数へと広がっているTPNWを、「核兵器のない世界」への本流としていっそう発展させることが重要である。
また、衆院で4分の3超の議席を占めた高市自民・維新連立政権が強権的な「戦争国家づくり」、憲法改悪、「非核三原則」見直しなどの策動を強めるなかで、「つながろう 憲法いかして平和な世界を! 2026 憲法大集会」に5万人が参加するなど全国で市民運動が広がる大きな変化の下での総会となる。「戦争する国づくり」「9条改憲」を許さず、「戦争はいやだ」「核兵器をなくせ」の草の根の声と運動に呼応して、会ならではの役割が求められている。
核兵器の禁止・廃絶を求める世界の流れとともに歩んできた会の40年にわたる歴史を確信に、「核兵器禁止条約に参加する政府」「非核の政府」を実現する展望を切り開こう。
■「核抑止」論を打ち破り、「核兵器のない世界」の実現を
世界各地で、核保有国による国連憲章に反する戦争が行われ、人類は依然として核兵器の重大な脅威に直面している。
米ロ間の戦略核戦力を制限してきた新START(新戦略兵器削減条約)は、後継条約交渉の進展を見ないまま今年2月に失効した。今年1月、米科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』(原子科学者会報)の終末時計は4秒進められ「85秒」と過去最短になった。
全米科学者連盟(FAS)は、2026年初頭における核保有国の核弾頭総数を計12187発と推定している。内訳は米国5042発、ロシア5420発、英国225発、フランス370発、中国620発、イスラエル90発、インド190発、パキスタン170発、北朝鮮60発である。2018年を基点にすると、核弾頭総数は2283発減少する一方で現役核弾頭数(核弾頭総数から退役・解体待ち核弾頭数を除く)は415発増加している。自国の「核抑止力」の欧州への拡大をもくろむフランスは今年3月、核弾頭数を増強すると発表した。核保有国はそれぞれ核兵器の近代化と増強を進め、ミサイル射程距離と命中精度等は格段に向上している。いずれも長年にわたる核軍縮の努力に著しく逆行するものであり、核軍縮・廃絶に転じさせなければならない。
TPNWの発効から5年、署名・批准・加盟国数は国連加盟国の過半数を超える99に達し、平和と核兵器をめぐる最悪の危機的状況にあるなかで「希望の光」として着実に前進している。締約国会議は3回開かれ、今年11月には第1回再検討会議が開催される。これまでの「政治宣言」はいずれも、核兵器がもたらす壊滅的な人道的影響を再確認し、核兵器が平和と安全を守るものでなく、強制と威嚇、緊張の高まりをもたらす政策の道具として使われている現状を直視し、「核抑止」論の誤りを厳しく指摘してきた。
核兵器国が保有の〝根拠〟とする「核抑止」論は、いざという時には躊躇なく核兵器を使用することを前提とする危険極まりない安全保障の考え方であり、われわれは到底受け入れることはできない。「核抑止論」に依存し続けることは、むしろ世界的な安全保障を損ない、核拡散のリスクを増大させるものでしかない。「抑止の過程を通じての世界の平和、安定、均衡の維持という概念は、おそらく、存在するもっとも危険な集団的誤謬」(1980年9月、国連事務総長報告『核兵器の包括的研究』)である。
核大国を中心とした力による支配への暴走がもたらした深刻な世界的緊張と核使用危機のもと、「核抑止」論を克服し、「核戦争を防止する唯一の確実な方法は核兵器の廃絶である」との立場を国際的な合意とすることが求められている。
■核兵器廃絶へ世界の本流を示したNPT再検討会議
2026年4月27日~5月22日、ニューヨークの国連本部で開かれた第11回核不拡散条約(NPT)再検討会議は、成果文書を発出することなく閉会した。成果文書の不採択は3会議連続となる。極めて残念なことだが、会議では191締約国中7割以上が、核兵器国にNPT第6条にもとづく核軍備撤廃のための行動を強く迫り、参加した市民社会とともに「核抑止」論に固執する核兵器国を包囲した。そのことを反映して成果文書案には、第6条とこれまでの合意事項の再確認・履行が書き込まれた。会議が核兵器廃絶へ希望ある世界の本流を浮きぼりにしたことは、今後の展望を示すものとして重要である。
わが会は、現地に代表を派遣し、ドー・フン・ビエット再検討会議議長(ベトナム国連大使)に要請書を手渡すなど、「いまこそ核軍備撤廃の約束履行を」の声を届け、核兵器使用の「破滅的な人道上の結末」の普及を求めた。これは、世界の希望ある流れと合致するものであった。国連本会議場で再検討会議を傍聴、サイドイベント「核兵器のない世界へ転換を-国際連帯」(日本被団協・日本原水協・原水禁・日本生協連)などに参加し、日本原水協が提唱した米国や世界の平和団体との国際共同行動=ニューヨーク・パレードに加わり、市民に核兵器廃絶を訴えた。
今回も成果文書が発出できなかった根本には、米・ロ・英・仏・中の核兵器国が第6条の「核軍備撤廃」義務を意図的に怠り、骨抜きにしようとした背信と妨害がある。あくまで核兵器の維持・強化をはかろうとして、核兵器廃絶を「究極」の課題に棚上げし、第6条の履行から「緊急」の文言削除を要求した。「核兵器の非人道性」でも表現を弱める「修正」に固執した。NPT体制の存在意義が問われかねない事態で核兵器廃絶に背を向ける核兵器国の姿勢が厳しく問われねばならない。
中満泉国連事務次長は、「核兵器国が、第6条にもとづく自らの軍縮コミットメントへの関与や履行を怠ったままで、核不拡散の義務だけが順守されると考えるのは明白な誤り。これは、私たちが集団として学ばなければならない極めて重要な教訓」と強く警告した。核兵器国の責任は極めて重い。
唯一の戦争被爆国・日本政府は、会議で第6条の義務にも、これまでの合意の履行にも一言も触れなかった。これを追及した吉良よし子日本共産党参院議員の質問に、高市首相は核兵器国の責任にすら言及できなかった。あくまでトランプ政権に付き従い、米国の「核の傘」=「核抑止」論にしがみつく政権の姿を露わにしている。「非核の政府」の実現は、いよいよ急務である。
今回のNPT再検討会議を踏まえ、「核兵器のない世界」を実現するには、①核兵器国も含めたNPTという枠組みを前進させ、とくに第6条にもとづいて核兵器国に核軍備撤廃の責任を果たさせつつ、②TPNWをさらに前進・発展させ、「核兵器の非人道性」を厳しく告発し、安全保障上でも「核抑止」論が成り立たないことを明確にしていく――「車の両輪」でのとりくみがどうしても必要になっている。とりわけ被爆国日本の役割は重要である。
秋の国連総会、11月のTPNW第1回再検討会議に向けて、国連、諸国政府、市民社会の共同と連帯、国際共同行動のとりくみを、夏の原水爆禁止2026年世界大会などを通じて強めることが求められる。核固執勢力の抵抗を乗り越えるため、被爆者を先頭にした草の根からの世論と運動の発展に力を尽くそう。
■いまこそ国連憲章にもとづく平和の国際秩序の確立を
核戦争の危険を防止するうえでも、核保有国などによる無法な戦争に終止符を打ち、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を確立することは急務となっている。
近年、トランプ米政権によるイラン攻撃、ベネズエラ侵略と現職大統領の拉致、キューバ経済封鎖、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルのガザなどへの植民地支配を彷彿とさせる攻撃とジェノサイドなどが相次いでいるが、いずれも国連憲章と国際人道法をじゅうりんする許しがたい暴挙である。これらの、ほかならぬ「安保理常任理事国」による国連憲章、国際法の破壊は断じて許されない。戦後世界秩序が80年目にして大きく脅かされ、国連憲章がめざした「国際紛争の平和的解決」の原則と「主権平等」、「領土不可侵」のルールが、岐路に差しかかっている。
その一方で、「イラン攻撃やめよ」の声と行動が世界各地に広がり、米国の同盟国であるNATO諸国やグローバルサウスの主要国も距離をとり、国際社会を「法の支配」から「力の支配」へと転落させようという動きには同調していない。
こうしたなか米国とイラン双方が6月15日、即時かつ恒久的な停戦、ホルムズ海峡の開放、今後の交渉の枠組みについて覚書に合意したことを歓迎し、この方向で両国が平和と安定を回復することを強く求める。覚書は「互いの主権および領土保全を尊重し、内政干渉を控えることを約束する」と明記しており、トランプ米政権が開始した無法な戦争が、日本国内の運動も含めた国際世論と米国内世論に追い詰められ破綻したことが明白となった。高市政権は、米国のイラン攻撃について「法的評価は控える」という情けない態度に終始したが、あくまで媚びへつらう卑屈な対米外交をいつまで続けるのかが厳しく問われている。
いまや危険性と時代遅れを露呈しているのは、むしろ“力の政治”、覇権主義の体制の方である。ロシアのウクライナ侵略の終結を求める行動、またパレスチナ支援の行動は世界中で広がり、パレスチナはすでに約160ヵ国が国家として承認しており、国連安全保障理事会常任理事国の中で米国だけが国家承認を拒んでいる。
この間、世界では新自由主義政策から離脱し転換する政治が、国政、地方政治の双方で力を強めつつあり、困難な中でも国家間の平和を実現しようというとりくみも進んでいる。トランプ米政権の強権的な政治に対し、“No Kings”(王様はいらない)デモ等全米3000カ所以上で800万人を超える大規模な抗議行動が繰り広げられた。日本も、こうした国際社会の大道に伍して、憲法9条を持つ国にふさわしい役割を果たすべく、国連憲章と国際法の平和、民主主義原則を守るとりくみを強める必要がある。
■「非核三原則」見直し許さず、「TPNWに参加する日本政府」実現を
今日の情勢のもとで、日本の政府は、「非核5項目」にあるような唯一の戦争被爆国にふさわしい役割を果たすことが強く求められている。世論調査でも国民の多数がTPNW参加と「非核三原則」の維持・堅持を求めている。
人類が依然として核兵器の脅威に直面するなか、高市自維政権が、TPNWに背を向け続け、トランプ米政権による国連憲章・国際法を踏みにじるイラン攻撃を事実上支持し、米国に追随して「戦争国家づくり」を推し進めていることは重大である。
この間の自民党政権が米国と一体に「拡大抑止の強化」を進めていることは核兵器廃絶を願う被爆者、広範な国民世論への重大な背信行為に他ならない。24年4月の岸田・バイデン日米共同声明では、「日本の防衛力によって増進される米国の拡大抑止を引き続き強化する」とし、同年12月には「日米の拡大抑止に関するガイドライン」を策定した。このガイドラインでは、有事の際のアメリカの核使用について、日本との意思疎通に関する内容などが盛り込まれたとされている。同年2月に台湾有事を想定して行われた日米共同演習「キーンエッジ」では、中国に対して米国が核の脅しで対抗することを日本が求め、米国がこれに応じたことが明らかになっている。
これをさらに進めようとする高市政権のもと、今年11月のTPNW第1回再検討会議へのオブザーバー参加さえ表明しない一方で、大軍拡の指針となる「安保3文書」の改定の中で、「国是」とされてきた「非核三原則」の見直しの動きが具体化していることは重大である。
高市首相は、2024年9月に出版した編著『国力研究』のなかで「非核三原則」は「拡大抑止(核の傘)の提供を含む日米同盟」と矛盾しており「持ち込ませず」は「邪魔」だとして、「安保3文書」の「非核三原則を堅持」という言葉の削除を求めたとしている。2025年12月には高市政権の高官が日本の核保有を口にしている。
政府は4月27日に安保三文書改定に関する有識者会議を開いたが、メンバーには、「非核三原則」の見直しを提言した山崎幸二・元統合幕僚長が含まれている。山崎氏は昨年6月、笹川平和財団がとりまとめた提言―米軍の「拡大抑止」〔核の傘〕を強化するために、①非核三原則の「持ち込ませず」を「(中国から)撃ち込ませず」に変更し、米軍の核持ち込みを容認、②日米が核兵器を共同運用する「核共有」の推進など―の作成に参加している。第2回会合では、「非核三原則」が議題となり、山崎氏は、「核の脅威が現実化していく中、(米国による核の傘を含む)拡大抑止の一環として核抑止をどうするかは大きな論点になる」と「持ち込ませず」の見直しを求める発言をした。
自維の連立与党が6月24日、それぞれ高市首相に提出した「安保3文書」改定への提言では、核軍拡をめぐって、「米国が提供する核抑止を中心とした拡大抑止の信頼性を一層確保」(自民)、「核抑止を国家戦略の中心に据える」(維新)などと主張し、維新の提言は非核三原則の「持ち込ませず」について、「現実的検討」を求めている。
「非核三原則」の見直しは、日本を核戦争の足場にしかねない動きであり、断じて許されない。今後とも政府の姿勢を厳しく監視し、唯一の戦争被爆国として「非核三原則」の堅持に努め、一日も早くTPNWに加盟する政府を実現するとともに、東アジアを戦争も核兵器もない地域にしていかなければならない。
■「戦争国家づくり」「日米軍事同盟絶対」の暴走阻止、改憲反対のたたかい
高市政権が狙う大軍拡、「戦争国家づくり」、9条改憲を許さないたたかいは、「非核5項目」を実現するうえでも、きわめて重要かつ喫緊の課題となっている。
高市首相が突如として国会開会冒頭の衆議院解散という「禁じ手」を弄した2月8日の総選挙では、自民党単独で3分の2、連立与党の日本維新の会とあわせて衆院で4分の3を超える「巨大与党」が成立した。その与党・政府が力まかせで推し進めた予算審議により当初予算で戦後最大の軍拡を含む26年度予算が、4月7日に成立した。
26年度の軍事費は、当初予算で初めて総額9兆円を超えた。「防衛力の抜本的強化」と称して、敵基地攻撃能力の保有に道を開くスタンド・オフミサイル整備、米軍補完の統合防空ミサイル防衛能力、大量のドローンを活用する無人アセット防衛能力(多層的沿岸防衛体制)等々、が計上されている。加えて、防衛生産基盤の強化、研究開発(統合防空ミサイル防衛能力、次期戦闘機等を含む)などに巨額が投じられている。政府は、こうした軍事生産の拡充のために、日本学術会議を「国の機関」から「法人」に変更する法改正を強行し、学問と大学の軍事動員を画策している。
高市政権は、南西諸島での長距離ミサイル配備など米国いいなりで、中国封じ込めのためとして全国の自衛隊基地の強化を強行している。これに対しては、基地周辺の住民などから反対運動が沸き起こり、自治体の動きにも影響を与えている。アメリカによるイランへの国際法を無視したミサイル攻撃には、横須賀を母港とするイージス艦も参加しており、ここに在日米軍の侵略性と日米軍事同盟絶対の危険性が如実に現れている。
軍事一辺倒で日本と世界の平和は守れない。国連憲章にも日中合意にも反する首相の「台湾有事発言」は直ちに撤回し、大軍拡を中止して中国をはじめとする東アジア諸国との憲法9条を生かした平和と友好の関係を再構築し、すべての国が参加する対話の枠組みをつくることこそ強く求められる。
とりわけ重大なのは、高市政権が野党を巻き込で、〝このとき〟とばかりに憲法改悪をもくろんでいることである。4月12日の自民党大会で、高市首相は「時は来た」「1年をめどに改憲を発議したい」と豪語したが、憲法は主権者国民が権利や自由を守るために国家権力を縛るものである。憲法擁護尊重義務(99条)を負う首相が、時期を区切り、率先して改憲の旗振り役を担い、政権与党が改憲を煽るなど断じて許されない。焦点は9条で、自民党政権は、集団的自衛権行使容認と安保法制を強行し、今度は、9条にもとづく平和国家の原則まで投げ捨てようとしている。
高市政権は9条を壊そうとし、「戦争国家づくり」を強権的に進めようとしているが、世論は“「改憲」が優先課題”は1%にすぎない(「朝日」・東大研究室共同調査)。国民多数は、侵略戦争・植民地支配への反省と原爆体験を投げ捨てる改憲など望んでいない。いま「戦争やめろ」「憲法守れ」の新しいムーブメントが全国各地で起こっている。
衆参両院の憲法審査会を舞台にした改憲策動は、現時点では、緊急事態条項、とりわけ緊急事態発生時の議員任期延長を当面のテーマとして先行させながら、条文起草委員会の設置をもくろむ状況にある。参議院では、公選法改正によって行われた選挙区の「合区」の解消を改憲で果たそうという理不尽な明文改憲のたくらみが議論されている。そこには、改憲を喫緊の課題として求めていない国民世論との決定的な「落差」がある。
政府と改憲勢力は、辺野古での不幸な抗議船事故を口実にして市民運動と学校の平和教育にくさびを打ち込もうとしている。文科省は、あろうことか教育基本法を学校の平和教育への介入の口実に使ってきた。憲法の人権保障の意義をわきまえないこうした動きに対して、憲法署名を広げに広げ、危険な高市政権の企みを、「戦争反対、9条変えるな」の圧倒的な国民多数の声で一日も早く終わらせよう。
殺傷兵器を含む武器輸出の全面解禁、国家情報会議の設置、スパイ防止法、国旗損壊罪の制定等の画策も「戦争国家づくり」の一環であり、許してはならない。
自民・維新与党が提出した衆議院定数削減法案の強行は、多様な民意を切り捨て、議会制民主主義を壊すものであり、断じて認められない。
■正念場を迎える「沖縄を再び戦場にするな」のたたかい
沖縄はことし1972年の日本復帰から54年を迎えたが、いまも在日米軍基地の7割が集中する重い基地負担、米軍人による性暴力をはじめとする凶悪犯罪、事故、騒音、環境破壊が続いている。普天間基地の全面返還に合意したSACO合意から30年が経過したが、辺野古新基地建設を前提にしており、基地の撤去・閉鎖は遅々として進んでいない。そればかりか米軍は「別の長い滑走路が選定されない限り普天間基地は返還されない」と、那覇空港などの民間施設の使用まで要求している。
一方、イラン戦争の中東に向け沖縄の在日米軍基地から米軍が出撃し、根拠の薄弱な「台湾有事」論に依拠して、南西諸島での長距離ミサイル配備など、米軍と自衛隊の軍備増強が強行されるもとで、再び戦場となる危険が高まり、高市政権の「戦争国家づくり」の象徴となっている。この「沖縄戦場化」計画は、地域の住民に荒唐無稽な避難、移転を強いる「机上の空論」であり、批判の的となっている。
9月の知事選挙に3選をめざして立候補表明した沖縄県の玉城デニー知事は、県経済や暮らし、子ども支援とともに辺野古新基地反対を明確にし、辺野古抗議船の事故を口実にした平和教育への政府の介入に釘を刺した。沖縄県民の総意としてオスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖、撤去、県内移設断念を日本政府につきつけた「建白書」(2013年1月)は「オール沖縄」の原点である。高市政権の「戦争する国づくり」を止めるためにも、今秋の知事選挙勝利に向けた全国からの支援が求められる。
■原発ゼロ、再エネへの抜本的転換を
政府の原発再稼働推進のもと、新潟県知事は県民投票条例制定を拒否したうえで、2025年11月2日に柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明した。26年1月から再稼働を強行した同原発は、制御棒システムをはじめとするトラブルが次々と発生したが、3月22日に発電・送電を再開し、4月16日に営業運転を開始した。
中部電力浜岡原発で「基準地震動」を意図的に過小評価するという信じがたい不正が発覚した。外部通報で判明したが、原子力規制委員会は規制審査で「見抜くことはできない」と居直っている。すべての原子力施設に対する規制の役割をしっかりと果たすべきである。5月には、美浜原発3号機でタービンカバーの閉止キャップが減肉し、水蒸気が漏れ出して運転を停止した。運転開始から50年が経過し、老朽化が明らかな原因であり、他の原発でも同様のことが起きる恐れがある。
福島第一原発事故から15年が経過したが、廃炉作業はほとんど進展していない。広域遮水壁で地下水の浸入と汚染水の増加を防ぎ、当面の安全を確保すべきである。
高レベル放射性廃棄物の処分場候補地として、政府が南鳥島の文献調査を東京都小笠原村に申し入れ、村は4月に同意した。国が前面に出て強行することは問題であるが、そのこと自体、原発政策の深刻な行き詰まりを示しているとも言える。
高市首相は26年2月20日の施政方針演説で次世代革新炉の推進を表明したが、その建設費は2兆円程度に達すると想定される。電力会社は経済的競争力に欠けるとして公的補助金を求めているが、結果として国民負担となるもので大問題である。
原発の運転を最優先するもとで、「出力制御」と称して再生可能エネルギーからの電力供給のカットが頻繁に起きている。原発を止め、再エネに転換が求められる。
■人権・ジェンダー後進国からの脱却、自民党政治の転換を
核保有国による国連憲章と国際法違反、核兵器を含む軍備増強が続く中、2030年までのSDGs(持続可能な開発目標)の達成が危ぶまれている。貧困と格差の解消、気候危機を乗り越え持続可能な社会をめざすSDGsはジェンダー平等を掲げている。TPNWも女性の平等な参加が持続可能な平和の達成に不可欠であると押さえている。
最大の暴力、人権侵害である戦争をなくすには、戦争とりわけ核戦争の被害が女性、子ども、高齢者、障がい者をはじめとした非戦闘員にとって耐えがたいものであり、すなわち「核兵器は人類と共存できない」ということを政策の中心にすえることを必要とする。そのためにも、女性や多様な人々が政治的意思決定に参加し安全保障のあり方を根本から変えていくことが必要であり、その実現のカギとなる市民社会の運動にも、ジェンダーの視点を真ん中にすえること、すなわち「ジェンダー視点の主流化」が求められている。
改憲と戦争国家づくりに前のめりの高市政権に対し、「戦争反対」「憲法変えるな」と国会前や全国各地で市民の行動が広がっている。「平和憲法を守るための緊急アクション」の呼びかけに、これまで、デモなど行ったこともない女性、若い世代がペンライトを手に駆け付け、4月19日には国会前に3万6000人、全国160カ所以上で行動がとりくまれた。「緊急アクション」の中心は「We Want Our Future」 という20代~40代の有志グループで、国会前行動の進行、トーク、コールの多くを女性が担っている。
行動に足を踏み出している女性、若い世代は自らの生きづらさの原因が悪政にあること、暮らしを押しつぶす大軍拡と戦争国家づくりが自由と権利を奪い、軍事優先主義が選択的夫婦別姓や同性婚、性の権利の否定、排外主義と一体に進められていることを見抜き、ジェンダーや世代を超えてつながり自民党政治に代わる政治を模索している。
〝非核の政府をつくろう〟との会の呼びかけが響く条件も広がっている今、それを生かせる活動へと発展させていこう。
【Ⅲ】非核政府の会結成40年、新たな前進へ
■結成40年を踏まえた会の課題と発展方向
わが会は、次の「非核5項目」にもとづく政府の実現を求めて世論喚起に努めてきた。
①全人類共通の緊急課題として核戦争防止、核兵器廃絶の実現を求める
②国是とされる非核三原則を厳守する
③日本の核戦場化へのすべての措置を阻止する
④国家補償による被爆者援護法を制定する
⑤原水爆禁止世界大会のこれまでの合意にもとづいて国際連帯を強化する
TPNWの前文および各条文は、これら「非核5項目」と響きあうものとなっている。それゆえTPNWに参加し、同条約を履行する日本政府を誕生させることができれば、わが会がめざす「非核の政府」実現に大きく接近することとなる。「非核5項目」にもとづき核兵器廃絶の政府を国民主権の運動で実現する組織として誕生した原点、40年間の成果の上に立って会の継承・発展をめざす。あわせて会ならではの意義を語り継いでいく。非核の政府を求める運動は、中央とともに各都道府県や地域での運動が不可欠である。47都道府県でも結成された「非核の政府を求める会」は、地方自治体などに非核の施策を働きかけるなど、地域からの世論づくりに貢献してきた。結成から40年が経過し、新たな会員拡大の努力も行われているが、いかに賛同者の拡大と世代間の継承とともに、地方の会の組織の強化、活動再開をはかるかが差し迫った重要課題となっている。そのために、経験を交流し合い、互いに知恵と力を尽くそう。
今日、高市政権の「戦争国家」づくりに危機感を抱いて全国各地で立ち上がっている広範な人々と連帯して、「非核の政府」の運動をすすめることが求められている。また「核兵器のない世界」をめざす運動が、気候危機打開など「人類の未来」を守る多様な運動と連帯・共同する可能性を広げている。被爆81年を迎え、「核兵器禁止条約に参加する政府」実現を求める国民的共同を発展させるために会の役割を発揮するときである。
わが会は当面、次の諸活動の前進をめざす。
■当面の諸課題
①「核兵器禁止条約に参加する日本政府」の早期実現めざす国民的共同をすすめる
この一年間、反核平和の分野でも新しい共同の発展がある。昨年7月末、日本被団協と日本原水協、原水禁の三者は、被爆80年を迎えるにあたり、核兵器廃絶に向けた国民的な取り組みを呼びかける初の共同アピールを発表した。今年4月からのNPT再検討会議には日本生協連も共同に加わり、8月には広島で日本青年団もふくめた五者の共同行動が予定されている。各地の市民連合には新たな共同の模索もある。思想・信条の違いを超え「非核5項目」での一致をめざす、わが会ならではの役割を果たし得る。
TPNWに背を向けるとともに、アメリカの核政策に追随して大軍拡を進め、くらしや気候危機問題にもまともに向き合わない高市政権の暴走を止める国民的な運動とも呼応して、日本政府に条約参加を求める国民的な合意形成、世論喚起をはかる。
わが会は、核兵器の非人道性、被爆の実相を発信・普及の取り組みと結んで、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」の推進に力を尽くす。
わが会は、第80回国連総会、第11回NPT(核不拡散条約)再検討会議にむけて、唯一の被爆国としての役割を発揮するよう政府への申し入れを行ってきた。引き続き、核兵器政策をめぐる日本政府の危険な言動に対して機敏に対処するとともに、非核・平和にかかわる重要問題で政府に要請する。
「新春メッセージ」、インタビュー等を通じ、各界識者との共同の拡大を追求する。
②会主催のシンポジウム、「核問題調査専門委員会」の充実をはかる
この間、2026年新春シンポジウム「岐路に立つ世界、非核・平和へ被爆国日本の役割を問う」(1月12日)を開催してきた。引き続き、非核・平和の重要テーマを中心に、シンポジウムや講演会等にとりくむ。
継続的な核問題調査専門委員会の調査・研究活動は、わが会の特色をなすものである。この間、核兵器禁止条約締約国会議やNPT再検討会議の成果をめぐり、講師を招き、各地の非核の会ともオンラインで結び開催してきた。今後さらに専門委員会活動の質的・量的発展をはかる。
〈専門委員会の当面のテーマ〉
▽「安保3文書」、▽「敵基地攻撃能力」論、▽「核共有」論、▽日米「核密約」、▽「核抑止力」論、▽日本国憲法と「非核の政府」、▽世界の核兵器状況・核兵器政策、▽トランプ米政権の戦略・核兵器使用政策、▽核兵器禁止条約、▽日本政府の原発・エネルギー政策批判、▽原発事故処理問題、▽放射性廃棄物の処分問題、▽朝鮮半島の非核・平和プロセス。
③原水爆禁止2026年世界大会の成功と「非核の日本をめざす全国キャンペーンⅡ」の前進をめざす
被爆81年の原水爆禁止2026年世界大会が8月3日~9日、被爆地の広島・長崎の現地参加を中心に、オンライン参加と併用で開かれる。今年の世界大会は、侵略戦争と核の威嚇、軍事ブロック拡大を許さず、紛争の平和的解決と平和・核兵器廃絶の流れが各国でも国際政治の舞台でも広がるなかで、また11月のTPNW再検討会議に向けて被爆国の市民社会のメッセージを発信し、内外の世論と共同を広げる大会となる。
わが会は、「非核の日本をめざす全国キャンペーンⅡ」(「非核日本キャンペーン」)、署名推進とともに、日本政府にTPNWへの参加を求める世論形成の節目ともなる世界大会が大きく成功するよう取り組みを強める。
④日本被団協と連携して被爆者支援・連帯活動の発展させる
TPNW第3回締約国会議では、第6条、7条の被爆者と核実験被害者への支援、環境修復の活動の具体化が強調された。日本政府の対応が鋭く問われている。条約が発効したもとで、“被爆者の国家補償を”“現行の認定制度の抜本的改正を”という被爆者の要求の速やかな実現のために、被爆者運動への支援・連帯を強めることがますます重要となっている。
「黒い雨」訴訟に対し、日本政府は、原告全員を被災者と認定した広島高裁判決を蹂躙して認定要件に疾病条件を加えて被爆者を分断し、高齢の被爆者に耐えがたい負荷を強いている。わが会は、政府の改心なき冷酷な被爆行政に強く抗議する。引き続き広島・長崎のすべての「黒い雨」被爆者と「被爆体験者」の救済を求める運動に連帯し、支援を強める。
⑤非核宣言自治体協議会、平和首長会議など非核自治体運動との連帯・共同を強化する
非核自治体宣言運動、非核・平和自治体行政の発展を引き続き追求するとともに、「核兵器禁止条約を支持し、日本政府に署名を求める」意見書採択など、自治体から合意と共同を広げる。まだ意見書採択が実現していない自治体で、党派を超えた住民運動と力をあわせ、被爆者とともに、議員に働きかけることが、一つのカギとなる。
地方自治法改悪など自治をないがしろにする動きを許さないため連帯・連携を強める。
平和首長会議、日本非核宣言自治体協議会との連帯・共同を発展させる。
⑥非核の政府を求める会の組織的強化のために
・賛同団体や地方の会との意見交換、懇談を進める。
・再建・再開をめざす地方の会への協力・援助をはかる。
・世代間継承も念頭に非核の会の意義の語り継ぎを全国・地方それぞれで探究する。
・ホームページを活用した情報発信に努力する。
・「非核の政府を求める会ニュース」の情報発信力向上に向けて、紙面改善をはかるとともに、普及に努める。
