核兵器をめぐる世界の動き
第11回核不拡散(NPT)再検討会議
アントニオ・グテーレス国連事務総長の発言 2026.4.27
第11回核不拡散(NPT)再検討会議開会日での国連のアントニオ・グテーレス事務総長の発言を紹介します。
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ご出席ありがとうございます。
この会議は、ともに立ち上がり、核による絶滅という重大な脅威から人類を守るための時宜に叶った会議です。
核兵器廃絶という世界共通の目標は、1946年の国連総会の最初の決議に遡ります。しかし、残念なことに人々の記憶は短いものです。ミサイル発射に備えて、子供たちが机の下に身を隠す術を学んでいたのは、そう遠い昔のことではありませんでした。核軍拡競争によって、私たちは核シェルターの建設を余儀なくされました。核実験は、手つかずの自然環境や脆弱なコミュニティを破壊しました。人類は、核によるアルマゲドン(世界終末)の影に怯えながら生きていました。
今日、集団的な健忘症とも言える状態が根付いてしまっています。核の威嚇がもう一度行われています。疑心暗鬼が時代を支配しています。苦労して築き上げた規範は損なわれています。軍備管理は死に体になっています。
世界の軍事支出は昨年2・7兆ドルに急増しました。これは世界中の開発援助額の13 倍以上であり、アフリカ全体の国内総生産(GDP)に匹敵します。数十年で初めて核弾頭の数が増加に転じています。核実験の再開も検討されています。一部の国の政府は、この恐ろしい兵器の取得を公然と考えています。
私たちは、核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならないということを忘れてしまったのでしょうか。核兵器は誰もより安全にするものではないということを、忘れてしまったのでしょうか。世界が奈落の底に転落しなかった唯一の理由は、当時の指導者たちが一致して「もう十分だ」と言ったからであることを忘れてしまったのでしょうか。
数十年にわたって私たちは核兵器の使用、拡散、実験を阻止し、その全面廃棄を達成するための取り決めの網の目を構築しました。核不拡散条約(NPT)は、そうした努力の礎です。それは諸国が共通の安全保障を強化するために集う場です。それは行動による多国間主義の模範です。
NPTは、あまりにも長期にわたって蝕まれてきました。約束は果たされないままになっています。信頼と信用は弱まっています。拡散の推進者は速度をあげています。私たちは、もう一度この条約に命を吹き込まなければなりません。
閣下、ならびにご列席の皆様。
本日討議を開始するにあたり、私は2つの重要な点に焦点を当てるよう強く求めます。
第一に、各国は条約に基づく約束を留保なしに、条件なしに、遅滞なく、言い訳なしに守らなければなりません。今こそ、平和への唯一の真の道として、核実験に反対する規範を強化することによって。保障措置制度とIAEA(国際原子力機関)の監督機能を強化することによって、そして、核戦争を防ぐために必要な措置に合意することによって、軍縮と不拡散に改めて決意を固める時です。
第二に、みなさんの議論は条約が進化するための土台を築くものです。
今日、核の脅威は、人工知能(AI)や量子コンピューティングといった急速に進化する科学技術による新たな危険によっていっそう複合的になっています。
本条約は、琥珀の中に閉じ込められた過去の遺物ではありません。核兵器と新しい科学技術のつながりに取り組まなければなりません。核兵器が廃絶されるまで、人類がその使用に対する制御を止めないようにしなければなりません。そして、持続可能な開発のための原子力科学技術の恩恵へのアクセス拡大を助けるものでなければなりません。
条約の強さは、各国のコミットメントの強さに他なりません。みなさんの支援と関与があってこそ、いまのような急速な変化の時代においても、本条約は「核兵器のない世界」のための能動的かつ強固な基盤であり続けることができます。
閣下ならびにご出席のみなさん、
本日、この会場の外では、広島と⾧崎の原爆投下を生き抜いた勇敢な生存者の方々-被爆者-が、指導者たちにその責任を思い起こさせるための非常に感動的な展示会を開催しています。しかし、これは単なる展示ではありません。これは、核戦争がもたらす代償がどういうものかについて私たちに警告するものなのです。
2024 年、被爆者を代表する日本被団協は、その絶え間ない活動と道徳的権威が認められ、ノーベル平和賞を授与されました。彼らは人類の最悪の事態を生き残り、人類の最善の姿を示してくれました。被爆者の人口は年々減少しています。しかし、彼らが世界に発するメッセージは、かつてなく時宜にかない、また緊急性を帯びています。
軍縮は平和の報酬ではありません。軍縮こそが平和の基盤です。
手遅れになる前に、核兵器をめぐる集団的な健忘症を打破しましょう。私たちが一つになってたたかえば達成できることへの信頼を取り戻しましょう。人類に垂れ込めるこの暗雲を取り払うために、早急に行動しましょう。 ありがとうございました。
