南西諸島の軍事強化と欠陥機オスプレイの危険
竹下 岳「しんぶん赤旗」編集局・政治部記者
大軍拡は米戦略実現の「対米公約」
底なしの金権腐敗政治によって岸田政権と自民党政治が危機的な状況に陥っていますが、安保3文書にもとづく大軍拡、南西諸島の軍事強化は粛々と遂行しています。この大軍拡はアメリカ戦略実現の対米公約であり、4月10日の訪米の手土産にするために、国内政治に何があってもやるという状況です。
この安保3文書にもとづく軍拡の根源には、2022年10月のアメリカ政府の新しい国家安全保障戦略があります。この中で、中国を「最大の戦略的挑戦」と位置づけ、同盟国、同志国の力を総結集して対抗する「統合抑止戦略」を打ち出しました。アメリカが最も期待しているのは日本の軍事的分担の拡大です。その理由は、世界最大の米軍基地網が日本に置かれていること、世界で最もアメリカ言いなりの国であること、米中軍事対立の最前線である第1列島線上に日本が位置していることです。第1列島線は、台湾有事が起こった際に西太平洋への拡大を防ぐ防衛ラインと位置づけており、沖縄がアメリカ防衛の捨て石にされようとしています。
南西諸島の軍事強化
南西諸島の軍事化で最も顕著なものがミサイル基地化です。奄美、宮古、石垣、与那国には次々と自衛隊基地ができ、中国の艦船を想定した長距離ミサイルを配備する動きが出ています。
二つ目が、アメリカ海兵隊の再編強化です。中国を念頭に海兵隊を再編強化し、アメリカ海軍と一体になって沿岸部から中国艦船や中国沿岸部の基地を攻撃する「海兵沿岸連隊」を沖縄、グアム、ハワイの3ヵ所につくる計画です。活動拠点は第1列島線であり、その足場は沖縄で、宮古、石垣、与那国地域が事実上の米軍基地化する危険があります。
三つ目は、日米の統合です。アメリカの2021会計年度の「太平洋抑止構想」(PDI)には、アメリカ海兵隊と自衛隊の長距離ミサイル部隊などが一体となって作戦を行う日米共同のミサイル攻撃網の構想が示されています。
四つ目は、共同訓練の実践化です。アメリカ海兵隊と陸上自衛隊による海からの強襲揚陸作戦を想定した「アイアン・フィスト」や「レゾリュート・ドラゴン」など、南西地域で本当に戦争やることを想定した訓練がかなり本格化しています。
沖縄「核基地化」復活の危険
沖縄の核基地化復活の危険に着目する必要があります。嘉手納基地に、昨年4月からF15Eストライク・イーグルという核攻撃能力を持つ戦闘機が暫定配備されています。一部報道ではこのF15Eストライク・イーグルを今後嘉手納基地に常駐ではなく正式配備する動きもあります。そうなった場合、嘉手納基地と隣接する嘉手納弾薬庫への核再配備も決して否定できないと思います。
もう一つは、昨年、沖縄の海兵隊がフィリピン海で、アメリカ海軍のオハイオ級弾道ミサイル原潜メインにヘリコプターで補給した写真を公表しました。アメリカは一昨年10月の「核態勢の見直し(NPR)」で核戦力の「可視化」を打ち出しており、それが実際に進んでいます。
中国は、大量のミサイルを沿岸地域に配備をしていて、グアムまで射程圏内に収めているとされます。自衛隊のミサイル部隊は、これに対抗するため、米軍の肩代わりをさせられているといえます。
沖縄「核基地化」復活の危険
仮に米軍と自衛隊が中国への先制攻撃や軍事的関与を行えば中国は間違いなくミサイルで沖縄に報復し、沖縄の戦場化は避けられません。しかし、全住民の避難には、石垣市の試算で航空機435機、宮古島では381機が必要であり不可能です。沖縄にはシェルターも、逃げられる地下もなく、ミサイルからの逃げ場はありません。
自衛隊は、中国との戦闘で航空基地が破壊されることを想定して、奄美空港や岡山空港、大分空港で離着陸訓練を始めています。いずれ米軍の使用も避けられないでしょう。
いまアメリカと日本は、中国との戦争前夜のような軍事強化を進めていますが、一方で経済的な側面では、アメリカと日本と中国は相互依存関係にあって、本来戦争することはありえない状況です。
戦争をなんとしても避けるために日本は、アメリカの対中軍事包囲網から脱却して、日中の平和的な関係をつくるいろいろな合意に立ち返ることが必要です。アメリカと中国の間に立って緊張を緩和することが憲法9条を持つ日本の役割だと思います。
オスプレイ全期が運用停止に
昨年11月29日に鹿児島県の屋久島沖に横田基地所属のCV22オスプレイが墜落しました。この事故を契機に、米軍は機体の不具合を理由に全機を運用停止して、今現在もまだ飛行はしていません。
オスプレイは、離島に臨時の戦闘拠点をつくる米軍の遠征前進基地作戦(EABO)で部隊や資材を輸送する役割を担っており、オスプレイがなければこれが難しくなります。自衛隊の水陸機動団も米軍と同様にオスプレイと一体で運用する構想を立てており、オスプレイがなければこの構想が頓挫する状況にあります。
オスプレイは、プロペラの向きが水平になったり、垂直になったり変えられるところが最大の特徴です。ヘリコプターのような垂直離着陸能力と固定翼航空機の水平飛行能力の両方のいいところを合わせ持った航空機として設計されました。
米軍は全世界にオスプレイを400機以上持っていて、日本には米軍のオスプレイ30機、自衛隊オスプレイはいま14機ですが、最終的には17機になります。アメリカ以外でオスプレイを持っているのは日本だけです。
オスプレイは開発段階から事故が相次いでいて、1992年から2023年の間に多くの死亡事故が起こっていて死者は合計65人です。最大の問題は、開発段階の3回の事故で30人が死んだ段階で開発中止になったのですが、アメリカの軍需産業がアメリカ議会等に圧力をかけて、中途半端な状態で実戦配備を進めたことです。要するに技術的には未完成なまま配備を強行して運用されている状況です。
オスプレイの危険
オスプレイの欠陥でよく知られているのが、オートローテーション(自動回転)機能の欠如です。ヘリコプターは万が一エンジンが止まった場合でも、風を取り込むことで一定時間回転翼を回すことができます。オスプレイは、機体と比較してプロペラがあまりに小さくてこの機能がなく、エンジンの緊急停止時に安全に着陸できません。水平飛行する際に大きすぎるとプロペラ同士が引っかかり、離着陸する際には地面に引っかかるので、プロペラを小さくせざるをえないのです。
日本の航空法では、回転翼機はオートローテーションが必須ですが、日米地位協定で航空法の適用が除外され、自衛隊機も航空法の適用が除外されています
今、一番問題になっているのがハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)というクラッチの不具合です。クラッチはエンジンの動力をプロペラに伝える際に必要なものだと米軍は説明しています。これが不具合になった場合は、エンジンが動いていても、プロペラが回らないのです。
オスプレイは、技術的に未完成であり、人の頭上を飛ばしてはならないし、しかも激しい飛行を行う軍用機として使うことはあってはならないと思います。したがって、現在のオスプレイはすべて撤去しなければならないと思います。
