「トランプ第2期政権の発足と核問題」をめぐって論議
非核の政府を求める会核問題調査専門委員会が2月13日、全労連会館とオンライン併用で開かれました。横浜国立大学の萩原伸次郎名誉教授が「トランプ第2期政権の発足と核問題」と題した小論文にもとづいて報告し、活発に議論しました。主な質問に対する回答について紹介します。
◆トランプ大統領はロシア・ウクライナ戦争を終わらせることができるのでしょうか。
本人は終わらせる気でいるのと同時に、プーチンがとにかくトランプを利用してロシアに有利な形で戦争を終結させる方向に行くのではないかと思います。今朝のCNNニュースを見ていますと、トランプ大統領はプーチン大統領に直接電話で1時間以上会談して、停戦を進める会談を近くサウジアラビアで行うと言っていました。ゼレンスキーはどうするのかと言いますと、ゼレンスキー抜きでプーチンと相対でやると言っていました。このことについてボルトン氏は「プーチンに完璧にしてやられますよ」という鋭いコメントを発表していました。そういう点で言うとヨーロッパにおける安定というよりは、むしろ、今後何か起こってもおかしくない事態が発生する可能性は結構あるのではないかと思っています。
◆トランプ大統領と中国との関係をどう見ればいいのでしょうか。
中国との関係では、1期目と違って脇に対中強硬派を付けています。しかし、トランプはディールの人だから、習近平を完全に敵に回すというよりも、自分の取引に引き込んでくることをどう考えてやっていくのかというところがあります。現在のところは、ウクライナ戦争をロシアとの停戦に持っていくときに、中国の習近平は重要な仲介になるんだとトランプが言っているので、それなりに決着をつけるまでは乱暴な対中政策はおそらく出てこないのではないかと見ています。
対中国に関しては、とにかく中国が世界のルールを書くのを何とか阻止しないとドル支配が貫徹されませんので、中国に対する警戒心が非常に強く出てきているという感じがします。だから様々な面で中国企業に目を光らせて、彼らにアメリカを乗っ取らせない政策を、大統領令をどんどん出す形で展開してきているのが大きな特徴になっていると思います。
◆トランプ大統領は「主権を取り戻す」と言っていますが、どういう意図があるのでしょうか。
一つは移民問題で、メキシコなどからどんどん移民が入ってきてアメリカ人の生活を脅かしている、移民が犯罪を起こす、麻薬を持ち込んできているということで、それを取り締まって、そして関税をかけてアメリカを守るという意識があると思います。
同時に、アメリカにとって自分たちが勝手放題にやってきたことが、中国が出てくることによってなかなかできなくなってきた。グローバルサウスなんかも非常に発展してきていいる中で、自分たちが今までやってきたことが追求できなくなってきたことへのトランプ政権の焦りがあり、それで主権、主権と言っているのではないかという感じがします。
◆アメリカのドル支配、新自由主義の動向はどう見ればいいのでしょうか。
世界経済危機が起こったときに中国、インドも生産は全く落ちないで、日本やアメリカは大きく落ち込みました。世界のマーケットにおける経済的な力が急激にグローバルサウスも含めて強くなってきて、アメリカのシェアが落ちてきているわけです。アメリカはとにかく物財に関しては大変な赤字の国で、世界から物財を輸入しないとやっていけない国なんです。それが今のところはドルで支払いができているから何とか持っているという話です。それがアジア共通通貨みたいな形が出てきて、その中の取り引きはドルではやらないということが広がってくると、まさにアメリカのピンチが引き起こされるので、是が非でもやめさせなければいけない。それで中国に対する嫌がらせという形で出てきていると思います。そういう点で言うと、中国は経済力をつけてきたのでそれなりの自信を持ってきて、国際ルールは守らなければならないとアメリカに問いかけている感じがします。
アメリカの衰退というのは基本的には逃れられないという状況が現在のところです。そうすると逆に主権が脅かされていると自分たちの利害、利益をゴリ押しで追求していく。豊かで力があったときにはパックスアメリカーナで、戦争もやったんだけど、力で抑えることができた。けれどもだんだん力が衰えてきて、周辺からそれを脅かすものが出てくるとそれを押し潰そうという形でのフリクションが出てきている。トランプの場合は、そういうことを意図的に引き起こしている感じがします。
世界に対するアメリカの支配力というのも落ちている。私はUSAIDをやめると言った時には、中国にとってはアフリカを中国圏に抱き込む絶好のチャンスをトランプがくれたのではないかという感じを持ちました。
◆トランプ大統領は高関税で何を狙っているのでしょうか。
トランプは、アメリカを守るんだと言っていますが、アメリカは外国の資本が入ってこないと国が成り立っていかないのです。経常収支の赤字は今でも改善せず続いているわけで、外貨を呼び込む形で展開しないとドルの体制を持たせることが非常に難しいということです。トランプは、アメリカへの直接投資を期待して、アメリカでビジネスをしてくれれば20%の法人税を15%に負けてやるとダボスの会議にネットで参加して主張しています。
