第37回全国総会

 非核の政府を求める会は6月3日、オンラインを併用して東京都内で第37回全国総会を開催しました。
 常任世話人で専修大学名誉教授の白藤博行さんが開会挨拶。岩井孝・元日本原子力研究開発機構研究員が常任世話人会を代表して総会議案を提案。東京慈恵会医科大学教授の小沢隆一さん、日本共産党衆議院議員の笠井亮さんが補強報告を行いました。
 総会議案と国民のみなさんへのアピール「〝核の威嚇糾弾!岸田政権の戦争する国づくりを許すな!『非核の政府を』〟の声をさらに大きく」を採択し、93人の世話人など新役員を選出しました。
 採択した総会議案は次の通りです。


非核の政府を求める会 第37回全国総会議案

 はじめに
 核大国ロシアがウクライナを侵略し、残虐な殺戮・破壊が1年3ヵ月余の長きにわたり続いている。ロシアの即時撤退、戦争の早期終結、世界を分断・対立させる軍事ブロックの解消がいよいよ緊急・切実となるなか、第37回全国総会は開かれる。国連憲章と国際人道法に則った解決を求める世論喚起のために、唯一の戦争被爆国であり、憲法9条をもつ日本の政府と市民社会がいかに寄与するかが正面から問われている。
 本総会は、昨夏相次いで開催された核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議と核不拡散条約(NPT)第10回再検討会議の成果を力に、今夏のNPT第11回再検討会議第1回準備委員会、11月のTPNW第2回締約国会議に向けて、核兵器禁止・廃絶をめざす流れの新たな前進と、被爆国日本で「核兵器禁止条約に参加する政府」「非核の政府」の実現を求める世論・共同の拡大がますます重要となるもとで開かれる。
 本総会はまた、岸田政権による敵基地攻撃も可能とする「戦争国家づくり」のための大軍拡・大増税、憲法破壊の暴政にストップをかけ、軍事ではなく平和のための政治への転換が急務となる中で開かれる。〝岸田政権退陣!「核兵器禁止条約の署名・批准」はじめ国民の願い実現の新しい政治への転換!〟の決意を交わす機会となる。

[Ⅰ]世界の動きにどう向き合うか

(1)ロシア軍の即時撤退、戦争終結、核使用の威嚇糾弾、平和秩序回復を
 ロシアがウクライナに無法な侵略を開始して、すでに1年3ヵ月余が経過した。ウクライナの市民が平和な日常を一日も早く取り戻すうえで、国際社会は非人道的な「戦争の実相」を正視しなければならない。現に子ども、女性を含む市民8000人超が空爆、砲撃で殺害され、住宅、インフラが無差別に破壊されて廃墟と化している。兵士の死傷者も、欧米メディアはウクライナ側、ロシア側ともに10万人を超えると報じている。わが会は改めて、ロシアが残虐非道な軍事侵略を直ちに止め、即時撤退することを強く求める。
 国連憲章を蹂躙して他国に侵略したのがロシアであり、戦争の責任がもっぱらロシアに問われるべきであることは歴然としている。ウクライナ戦争の前途は、国際社会が「国連憲章を守れ」の一点で、いかにロシアを包囲するかにかかっている。国際社会の意思は、国連総会で4度、ロシア非難決議が140ヵ国余の賛成で採択されたことに端的に示されている。北大西洋条約機構(NATO)諸国は、事態を泥沼化させる軍事的対抗拡張姿勢を改め、平和的・外交的努力をこそ強めるべきである。平和的解決へ世論を結集するうえで、日々、NATO諸国によるウクライナへの武器供与を報じ戦況報道に明け暮れる大手メディアの軍事偏重姿勢も断じて看過できない。
 米科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』は1月、人類滅亡を午前零時に見立てた「終末時計」の針をこれまでで最悪の「残り90秒」とした。針を進めた要因の1つが、ロシアによる核の威嚇とされる。同誌の編集に携わるハンス・クリステンセン氏は、プーチンの核使用威嚇後もロシアの核部隊の臨戦態勢化の動きは見られないとするが、しかしプーチンに示される核保有国首脳の核兵器使用に対する軽々な発言、弛緩した姿勢が、意図的でなかろうと過失や事故につながり、核兵器による惨禍を惹起するリスクを高めていることは明白であり、断じて看過できない。人類が核の惨禍から免れる道は、唯一つ、核兵器の全廃しかない――このことはウクライナ戦争が改めて世界に突きつけた重大な教訓と言えよう。

(2)米ソ冷戦の負の遺産=核軍事同盟の解消を
 プーチン大統領は開戦当初、「ウクライナのネオナチ化を防ぐ」ことを軍事侵攻の「動機」としていたが、それがロシア国民に通用しなくなると「戦争の責任はNATO、西側諸国だ」と喧伝してNATO諸国を牽制し、国内の反戦機運の封じ込めに躍起となっている。
 プーチンの「自衛のための戦争」との主張が国際法上成り立ちえないのは明白だが、同時に、見落とせないのは、米国を中核にした核軍事ブロックの拡張主義的実態である。軍事ブロックは、平和保証体制どころか、軍事的緊張を永続させ、紛争・戦争の温床となり、同盟諸国への戦火を拡大する枠組みにほかならない。
 米ソ冷戦体制の負の遺産である今日(第2次大戦後)の軍事同盟は、超大国の思惑と狙いに沿った「力の政策」の重要な道具(覇権主義の不可欠な手段)となっており、国連憲章51条(集団的自衛権)を利用して加盟国を干渉戦争や侵略戦争に動員するものとなっている。国連憲章が謳う各国の「主権平等」「同権と自決」の原則を抑圧・侵害する現代の軍事同盟はまた、歴史上かつてなく広大な地域的広がりをもつとともに、なによりも、大量殺戮兵器の核兵器を中心的戦力に位置づける軍事同盟であるところに、最大の特徴がある。まさに現代の核軍事同盟こそ今日、多国間で軍事的緊張を高める中心的枠組みであり、核戦争を誘発しかねない元凶である。
 わけても日米軍事同盟は、在日米軍基地を中心にした米軍の核兵器使用政策の展開、日本の核基地化が、日米「密約」下で進められているという点で、世界でも特異な軍事同盟である。また、「アメリカ式植民地の広がりをたどるには(現在は)軍事基地だ」とされるが、日米同盟は、130余に上る在日米軍基地の多さにおいて、また屈辱的な地位協定をみても、その対米従属性を際立った特徴としている。わが会は、日本政府が、国民の知らないうちに日本が核戦場となりかねない日米「核密約」を速やかに公開・破棄するよう、強く求める。

(3)TPNWの「普遍化」、規範力の強化へ
 〈TPNW第1回締約国会議の画期的意義〉
 昨年6月にウィーンで開催されたTPNW第1回締約国会議は、80ヵ国を超える国・地域が参加して「ウィーン宣言」と「行動計画」を採択し、TPNWの規範力の強まりを示して画期的な成功をおさめた。
 「ウィーン宣言」は、「核兵器の存在が全人類にもたらすリスクは非常に深刻であり、核兵器のない世界を実現するために直ちに行動を起こすことが必要」だと述べ、「私たちには待っている余裕はない」として核兵器廃絶の緊急性を正面から訴えた。「宣言」は、「私たちは、この条約の目的を実現するうえで、前途に立ちはだかる課題や障害に幻想を抱いていない。しかし、私たちは楽観主義と決意をもって前進する」「私たちは、最後の国が条約に参加し、最後の核弾頭が解体・破壊され、地球上から核兵器が完全に廃絶されるまで休むことはないだろう」と結んで、核兵器禁止・廃絶への確固たる意思を表明した。
 TPNWは核兵器の使用もその威嚇も禁じているが、「ウィーン宣言」は、核抑止力論に対し、「明示的であろうと暗示的であろうと、またいかなる状況下であろうと、あらゆる核の威嚇を明確に非難」し、「核兵器が実際に使用されるという脅威、すなわち無数の生命、社会、国家を破壊し、地球規模の破滅的な結果をもたらす危険性にもとづいている核抑止論の誤りを、これまで以上に浮き彫りにしている」と断じている。
 「宣言」は、NPT体制についても、「軍備撤廃・不拡散体制の礎石と認識」し、「全面的に義務を果たしているNPT締約国として、本条約とNPTの補完性を再確認する」と明言したうえで、「核兵器の包括的な法的禁止を発効させることにより、NPT第6条の履行を前進させたことを喜ばしく思う」と意義づけた。そのうえで、核兵器国にNPTの公約の完全履行を強く求め、「共通の目的を達成するため」「建設的に協力するとの約束を改めて表明」している。同会議には、ドイツなど米国の同盟国5ヵ国もオブザーバーとして参加し、「(NATO加盟国の立場とは一致しないが)心を開き、誠実に対話することが必要不可欠だ。そのためにドイツはここにいる」などと建設的な姿勢を表明した。だがこの会議に、被爆国の日本政府はオブザーバーとしての参加さえ拒んで世界を唖然とさせた。
 「行動計画」は、▽条約の締約国を増やす、▽核兵器の廃絶をめざす、▽核被害者支援と環境改善、国際協力、▽科学的な研究を継続する、▽核軍縮のほかの枠組みとの補完性を強化する、▽そのほか条約を達成するために不可欠な項目などの6つの目標の下、50項目にわたり、条約の内容を実現していくための具体的な道筋を明示している。
 「ウィーン宣言」と「行動計画」の採択は、TPNWそのものの生命力の産物である。核使用が危惧される今日の情勢下、まさに「核兵器禁止条約の発効は、一条の希望の光」(クメント・オーストリア軍縮局長)として、「核兵器のない世界」の実現をめざす流れを大きく鼓舞している。

 〈NPT第10回再検討会議の成果〉
 2020年に開催予定であったNPT第10回再検討会議が、コロナ禍による延期を経て昨年8月、ニューヨークで開催された。同再検討会議では、多数の政府代表が核兵器国の「自国核軍備の縮小撤廃約束」不履行の責任を厳しく問い、核兵器国を防戦一方に追い詰めた。
 原発をめぐるロシアの反対で採択に至らなかったとはいえ、最終文書案に、「核使用の壊滅的な人道的結末への懸念」「核全廃への核保有国の明白な約束の再確認」とともに、「本会議は、核兵器禁止条約が2017年7月7日に採択されたことを認識する。同条約は(…)21年1月22日に発効し、22年6月21~23日に第1回締約国会議が開催された」との文言が最後まで残った意義は大きい。このことは、核保有国を含めてTPNWの存在については一般的な合意があることを示しており、核保有国がこれまで〝TPNWはNPTと矛盾し、NPT体制に有害だ〟としてきた反対理由の破綻を示すものと言えよう。
 これは、先のTPNW締約国会議の合意に即して「TPNW締約国会議開催を歓迎」「TPNWとNPTは両立するし補完する」と訴えて、核保有国・核依存国を包囲してきたTPNW推進勢力・市民社会の重要な成果である。この到達点は今後、核兵器禁止・廃絶をめぐる国際社会の論議を新たな段階に押し上げるにちがいない。

 〈NPT第11回再検討会議第1回準備委員会、TPNW第2回締約会議に向けて〉
 今年は、8月に原水爆禁止2023年世界大会と並行してNPT第11回再検討会議第1回準備委員会がウィーンで、また11月末にはTPNW第2回締約国会議がニューヨークの国連本部でそれぞれ開かれる。これら会議を節目として、核保有国に核廃絶合意の履行をいかに迫るか、TPNWの規範力をいかに強めるかが、国際政治の大きな焦点となっている。
 TPNW第1回締約国会議は、「行動計画」が第1に掲げる「普遍化」(参加国・支持国の拡大)を最も重要な「戦略」としている。締約国はそのために、核兵器の危険性と非人道性、TPNWの意義など「条約の規範、価値、根本的な主張」を広げていくこととなる。この「国際政治において条約の中核的な規範と原則の権威を最大限に高めるための戦略」は、非核・平和運動のベクトルと同方向であり、条約締約国の多数派形成の諸活動と相携えて、核保有国と核依存国における世論喚起、政治の力関係の転換をはかることが、いよいよ重要となっている。

 〈被爆国の非核・平和運動の出番のとき〉
 わが会は、「非核5項目」に「原水爆禁止世界大会のこれまでの合意にもとづいて国際連帯を強化する」ことを掲げている。原水爆禁止運動はわが会の起点であり土台である。その原水爆禁止運動は、1955年の第1回世界大会からこの方78年、数次の署名運動を提唱し、全国津々浦々での街頭宣伝・署名活動や「原爆展」に取り組み、沿道の自治体や各戸を訪れての国民平和大行進を網の目に展開し、毎年、3・1ビキニデー集会や原水爆禁止世界大会を開催するなどして、「核兵器廃絶は全人類の死活にかかわる最重要・緊急課題」との訴えを国内外に確固として発信し続けてきた。「人類が核兵器の惨禍から免れる道は廃絶しかない」との今日の国際合意は、被爆者運動と原水爆禁止運動が結実したものと言って過言ではない。
 ロシアのプーチン政権を含めて、核保有国の為政者たちの「核使用の衝動」を封じ込める最大の力は、被爆国日本をはじめとした国際の反核世論である。米政府「解禁文書」の研究者、新原昭治氏(当会世話人)によると、米国のアイゼンハワー政権が朝鮮戦争で核兵器使用を検討したものの、「核使用を拒否する世論を抹殺しなければならない」と反核世論の広がりを怖れて使用に踏み切れず、また台湾海峡紛争でも、核攻撃すべしとの(米政権の)主張が出ながら、ダレス国務長官が「(そうすれば)日本政府は日本から米軍の撤退を要求せざるをえなくなる」と述べて反対せざるをえなかった。1967年、ジョンソン大統領がベトナムで核使用の動きを見せた際も、大統領の意図に反対する内外世論の高まりの前に使用不可能の断を下さざるをえなかったとされる。世論の威力は大きいのだ。
 今日の情勢は、草の根から、連々と核兵器禁止・廃絶の世論喚起に力を尽くしてきたわが国の原水爆禁止運動の先駆性の発揮を、いよいよ強く求めている。

[Ⅱ]「戦争国家づくり」政治ストップ、岸田政権打倒

(1)被爆地から核兵器の必要性発信したG7広島サミット
 2週間前の5月19日~21日、先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)が広島で開かれた。被爆地・広島での初の開催であっただけに、核兵器廃絶への前向きのメッセージの発信が期待されたが、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」はその願いを真っ向から裏切るものとなった。同ビジョンは、核兵器廃絶を「究極の目標」として遠い将来の課題に先送りして、「私たちが生きているうちに核兵器をなくしてほしい」との被爆者の悲願を踏みにじった。また、「核兵器は、(…)防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、戦争および威圧を防止すべき」ものだとの表明は、核兵器の役割とその使用を肯定する宣言にほかならない。核兵器の非人道性、核兵器国の自国核兵器の全廃約束の再確認、核兵器禁止条約が存在するとの国際的合意については一言もないなど、G7参加国を含む国際社会の到達点から後退した宣言となっていることも看過できない。同ビジョンには「被爆者」という言葉さえ入っていない。こうした立場を、あろうことか被爆地広島から発信したことは、被爆者と被爆地を愚弄する恥ずべき愚行である。これに被爆者や被爆2世・3世、市民社会から失望と怒りの声が広がっているのは当然である。わが会は、かかる「広島ビジョン」を発表した議長国・日本の岸田首相の責任を厳しく問うものである。

 〈岸田政権に被爆国の政府を称する資格なし――TPNWに参加する政府を〉
 世界がTPNWの普遍化のために大きく動き出す時代を迎えて、日本政府の核兵器禁止・廃絶の妨害者としての姿がいっそう鮮明となっている。岸田政権はTPNWに反対するばかりか、昨年の第1回締約国会議へのオブザーバー参加さえ拒否して、参加各国、市民社会からブーイングを浴びせられた。第77回国連総会では、圧倒的多数の国々が賛成して採択された決議「核兵器禁止条約」にも5年連続で反対票を投じる厚顔ぶりだ。核大国アメリカの意向を忖度した日本政府提案決議案も各国から痛烈に批判され、賛成国も減少した。
 先の日米首脳会談やそれに先立つ「日米2プラス2」でバイデン政権にへつらって、国会にもはからず「反撃能力(敵基地攻撃能力)保有」「大軍拡」を宣言するとともに、米「核軍事戦略」依存への傾斜を強めたことも、重大である。
 国民の意思は明白である。世論調査で「核禁条約参加」を望む声は7割にのぼり、政府に条約参加を求める自治体意見書・決議採択は4割近くに達している。日本政府はことあるごとに「橋渡し役」を任じるが、被爆国が担うべき橋渡しは米国の顔色をうかがうことではなく、「核なき世界」をめざす多様なアプローチ、アジェンダを調整し、連携を図り、核廃絶の流れを加速させることである。
 わが会は、日本政府に対し、以下の諸点を中心に、被爆国にふさわしい「非核の政治」を行うよう求めるとともに、これらの政策を実行する政府をめざす。。
 ○核兵器禁止条約に速やかに署名・批准し、核保有国を含む国連全加盟国に同条約加盟  を促す。
 ○核保有国に対し、NPT再検討会議の「核兵器廃絶合意」の誠実な履行を求める。
 ○原爆被害の非人道的な実態を世界に発信し、核兵器はいかなる状況下でも二度と使用  されてはならないことを世界に訴える。
 ○被爆者施策の抜本的改善、原爆被害への国家補償に踏み切る。
 ○核兵器使用の脅迫力=米「核抑止力」政策(「核の傘」)から離脱する。
 ○「非核3原則」を厳守し、非核の日本を実現する実効性ある措置を講じる。
 ○日米「核密約」を公表し、これを破棄する。
 ○朝鮮半島非核化・平和体制実現にむけたプロセス再構築のために寄与する。

(2)岸田政権の1年7ヵ月――戦争する国づくり路線を暴走
 岸田政権が発足して1年7ヵ月。憲法の枠組みを踏み外し、国会軽視、国民置き去り、大軍拡・大増税等その暴走ぶりは目に余るものがある。まさに〝戦後最悪の政権〟と言うほかない。わが国の安全保障政策の「大転換」となる「安全保障3文書」にしても、原発の運転期間は原則40年というルールを改悪し前言を翻して新増設推進に舵を切った「原発回帰」方針も、閣議決定一つで強行した。原発推進等5法案にしろ、国内の軍需産業を強化する軍需産業支援法案にしろ、まともな審議もなしに衆院本会議で通されたが、ことの重大さからすれば本来1国会も2国会もかけて徹底審議を尽くすべき案件である。それを国民の声も聞かず、わずか1ヵ月の審議で通すなどは前例なき暴走の極みである。国会ではさらに5年間で43兆円もの財源をつくりだす「軍拡財源確保法」や「入管法改悪案」等の強行も策されている。政権与党の自民・公明はもとより、暴走政治に加担する日本維新、国民民主両党の責任は重大である。
 国民はいま、岸田政権への不満・批判を募らせている。物価高騰、生活苦・営業難に対する無為無策、統一協会問題で極限状況を露呈した政治のモラル崩壊等に対する不信感が増大し、先の統一地方選挙でも政権与党の自民・公明両党は苦戦を強いられた。大軍拡・大増税方針に対するNHKの世論調査(2月)では、「防衛費の増額に賛成」が昨秋調査の55%から40%に減り、「反対」は29%から40%まで広がっている。「軍事費財源のための増税」に対する「反対」は65%を占める。国民は「大軍拡・大増税」路線に承認を与えていない。TPNW参加をはじめ「平和とくらし、憲法を守る新しい政治実現を!」の共同の発展が切実に求められている。

 〈「安保3文書」の行き着く先は〝日本の焦土化〟〉
 岸田政権が昨年暮れに閣議決定した「安保3文書」は、「戦後のわが国の安全保障政策を実践面から大きく転換する」(「国家安全保障戦略」)と公言して、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を初めて明記した。「敵基地攻撃能力」は歴代政権の見解に照らしても違憲性は明白であり、戦後の歴代政権が掲げてきた「専守防衛」を根本から覆すことも明らかである。「専守防衛」を投げ捨てることは、軍事対軍事の悪循環を招く新たな導火線となりかねない。
 岸田政権は「安保3文書」で、「GDP比2%以上」の軍事費を掲げている。日本は米中に次ぐ世界第3位の軍事費大国となる。極超音速誘導弾などのスタンド・オフ・ミサイル(相手国の脅威圏の外から発射する長射程ミサイル)を大量導入・開発し、それを搭載する戦闘機、護衛艦、潜水艦を大増強するとしているが、こうした動きは相手国からすれば新たな「脅威」の出現にほかならない。
 しかも「敵基地攻撃能力」について先の日米合意では、「米国との緊密な連携の下」で「効果的に運用」されるとしており、その中心に「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)を据え、米軍と自衛隊の「シームレスな融合」をはかるとしている。米軍が先制攻撃の戦争に乗り出せば、自衛隊の参戦が不可避となり、結果、その先にわが国が行き着くのは相手国の報復攻撃による全土の焦土化である。
 「安保3文書」がめざすのは、長射程ミサイル配備に加えて、国内武器産業の育成、軍産学共同研究、公共インフラの軍事利用、宇宙空間の軍事利用、南西諸島における有事の際の避難計画等、まさに戦争に備える総動員体制の構築である。こんな「戦争国家づくり」を許すわけにはゆかない。岸田政権はしばしば「わが国をとりまく安全保障環境の変化」を口にするが、わが国は現下、戦争に巻き込まれているわけではない。安全保障環境が厳しいというなら、それに見合う真剣さで外交に総力をあげるべきだ。軍事対軍事でなく、憲法9条を生かした外交努力こそ、政治が果たすべき最小限の責務である。
 岸田政権のウソとごまかしの政治を許してはならない。「他国を攻撃しても〝専守防衛だ〟」「世界第3位の軍事費でも〝軍事大国にならない〟」「武力で威嚇しても〝脅威にはならない〟」――こんなウソで国民を愚弄する政権は即時退場しかない。
 わが会は、岸田政権の大軍拡・大増税政策と核兵器固執政策が表裏一体であることを国民に訴え、共同を広げるために力を尽くす。

(3)憲法改悪阻止、学術会議法改悪反対
 岸田政権は、「安保3文書」で「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有と大軍拡を明記し、その具体化のため軍事費大幅増の2023年度予算に続き、防衛費財源確保法案、軍需産業支援法案、自衛隊基地の「強靭化」などによって憲法9条の掘り崩しを画策している。同時に9条の明文改憲にも固執し、岸田首相は4月25日の自民党改憲本部の会合で、来年9月までの党総裁任期中に改憲を実現すると改めて表明した。明文改憲の推進に同調する野党の動きも活発化しており、とくに日本維新の会は、独自の改憲案を用意し、両院の憲法審査会での審議の促進を強硬に主張するなど、明文改憲の「旗振り役」となっている。改憲勢力は、今のところ、緊急時の国会議員の任期延長などを改憲の「糸口」にしようと躍起になっているが、改憲策動の「本命」は、あくまでも9条改憲と緊急事態条項の導入にあることを広く国民の中で共有していく必要がある。そのためにも立憲野党と国民各層の幅広い共闘の再構築が急務である。
 「安保3文書」は、安全保障の「知的基盤の強化」をうたい、「安全保障分野における政府と企業、学術界との実践的な連携の強化」をはかるとして、学術界の政府への従属と軍事への総動員を狙っている。2020年10月の菅義偉首相(当時)による学術会議会員6名の任命拒否事件と、それを契機にした学術会議会員選考への政府の介入の正当化、そのための会員選考過程への「第三者機関」の関与を狙った学術会議法改悪のたくらみは、その布石とも言える。この学術会議法改悪の企ては、学術会議自体の道理を尽くしたねばり強い反対と、国内外のノーベル賞受賞者、数多くの学協会、広範な市民による学術会議を支持する意見表明によって、今国会での法案上程はひとまず見送られたが、政府・自民党は、学術会議の「民間化」による骨抜きを含む攻撃をあきらめてはいない。今後とも学問の自由と学術会議の独立を守り、学術の軍事動員を許さない強固な共同の輪の構築が求められている。

(4)沖縄・南西諸島の〝戦場化〟は許さない
 岸田政権の「戦争国家づくり」政治のもと、いま沖縄・南西諸島では再〝戦場化〟を招来しかねない事態に不安、批判が急速に高まっている。「琉球新報」が1月末に行った世論調査によると、沖縄県民51.9%が政府の「防衛力強化方針」に「反対」と答え、55.6%が「反撃能力保有」に「反対」の意思を表明している。昨年の沖縄県知事選で県民が求めたものも〝平和で誇りある豊かな沖縄〟(新建議書)の実現であった。米軍の対中国軍事戦略に沿う、「第1列島線」(九州―奄美・沖縄など南西諸島―フィリピン)へのミサイル網構築、基地強靱化計画は直ちに中止すべきである。
 米軍は72年の施政権返還後、核兵器を撤去したものの、69年の日米「沖縄核密約」によって、核攻撃の即応体制は現在も温存している。「沖縄核密約」では、「沖縄に現存する核兵器の貯蔵庫、すなわち、嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用できる状態に維持しておき、重大な緊急事態が生じた時には活用できる」とされている。現に、米空軍が嘉手納基地に今年4月からローテーション配備している戦闘機・F15Eストライクイーグルは核攻撃能力をもっており、配備前には米本土で核投下試験を行っていたとされる。一昨年末、米議会の諮問機関が公表した報告書は、「台湾有事」で米軍が軍事介入の動きを見せた場合、米空母、グアムとともに沖縄の米軍基地が中国による核兵器先制攻撃の標的になる可能性があると指摘したと報じられてもいる。
 沖縄を再び〝核の島〟にさせてはならない。復帰から51年となるいま、政府は沖縄の「新建議書」を真摯に受け止め、県民の総意に誠実に向き合い、技術的にも政治的にも完全に破綻した辺野古新基地建設をきっぱりと断念し、米軍が国際法に違反して建設した普天間基地の無条件撤去・返還のために尽力すべきである。

(5)「原発回帰」を許すな
 現行の第6次エネルギー基本計画は、福島第一原発事故の経験、反省と教訓、可能な限り原発依存度を低減、2050年カーボンニュートラルや2030年度の新たな削減目標の実現などの巧言が並んだ。岸田政権はこうした巧言さえ投げ捨て、「GX脱炭素電源法案」を閣議決定した。今国会で可決した同法は、原則40年とする老朽原発の運転期間を60年、70年へと延長し、既設原発の再稼働促進、「次世代革新炉」の新設など多くの問題がある。加えて原発の活用を「国の責務」、使用済燃料の再処理などを「基本的施策」として改定原子力基本法に明記している。福島第一原発事故の反省と教訓を踏みにじり将来に禍根を残すものとして、同法の可決成立に強く抗議する。
ウクライナ侵攻直後、ロシアはチェルノブイリ原発とザポロージェ原発を相次いで攻撃・占拠した。ザポロージェ原発の占拠は現在も続いている。原子力施設への攻撃は国連憲章とジュネーブ諸条約に違反する行為であり、断じて許されない。
 現在の原発は3つの致命的欠陥(①シビアアクシデントを起こす可能性を否定できない、②高レベル放射性廃棄物を安全に処分できる見通しがない、③核兵器の水平拡散の可能性を否定できない)を抱えている。加えて我々は、ウクライナ侵攻を通じて原発攻撃・テロの可能性がありうることを改めて知った。福島第一原発事故後に改定された規制基準は、原発テロ対策として意図的な航空機衝突への対策を求めているが、戦時下におけるミサイル攻撃に対しては無力である。現在の軍事的暴力に満ちあふれた国際社会において、原発は第一級の攻撃目標となる。
 岸田政権は原発の新増設をやめ、再稼働をきっぱりと断念し、「原発ゼロ」を決断すべきである。今こそ「原発ゼロ基本法」の実現に力を尽くすことが求められる。
 東電福島第一原発事故から12年経った今も、廃炉の見通しは立っていない。それどころか事故炉の格納容器上蓋の隙間に、大気放出量を数倍上回る放射性セシウムの存在がわかり、廃炉工程の安全面と作業面に重大な影響を与えている。
 2021年4月、120万トンを超えるALPS(アルプス=多核種除去設備)処理水の取り扱いについて政府は、2023年を目途に海洋処分することを決定した。過去の約束を反故にし、事故以来ずっと深刻な影響を受けてきた漁業関係者や地元住民の「汚染水を流すな、海洋放出反対!」の声を無視した決定は、許されない。第一原発サイトに隣接する土地を購入ないし借用すればALPS処理水の保管は十分可能であり、海洋放出のごり押しに断固反対する。

(6)ジェンダー平等の発展のために
 国際社会では核兵器廃絶や軍縮における女性の役割が強調されている。一昨年発効したTPNWは前文で、核兵器使用による破滅的な影響が妊婦の健康と女子に対する過剰な影響をもたらし、女性および男性の平等な参加が平和、安全の達成にとって不可欠な要素だと強調した。NPT第10回再検討会議では、67ヵ国の賛同で「ジェンダー、多様性、包括に関する共同声明」が発表され、議長が提案した最終文書案には「NPT履行に向けた女性と男性による参加とリーダーシップの重要性を認識」することが盛り込まれた。採択されなかったとはいえ参加国の「合意」を示すもので、ジェンダー平等を求める市民社会や国々がつくった貴重な到達点である。
 一方で長年の自民党政治は、賃金格差や国会議員比率1割以下など、男女平等度(世界経済フォーラム)世界146ヵ国中116位という異常な遅れをもたらしている。戦前復古主義と結びついた女性蔑視、人権意識の欠如も、サミット開催国の資格がないほどジェンダー平等後進国となっている。政治の大転換が不可欠である。
 新自由主義と軍事大国化路線のもと、女性を「雇用の調整弁」として不安定で低賃金の非正規労働に追いやり、社会保障制度を次つぎ改悪して子育て・介護などを「家庭責任」として女性に押しつけてきた。
 この間のコロナ禍と物価急騰は、女性の困窮をあぶり出している。高学費が家計を押しつぶすほどに子育て・教育にお金がかかる異常な政治が、少子化を進行させている。子どもたちが未来に希望のもてない社会を変えなければならない。時給1500円、ケア労働の処遇改善、男女賃金格差の是正、義務教育の無償化、学費半減や給付型奨学金拡充、男女ともに育児・介護にかかわる制度、減らない年金、削減でなく医療・介護の拡充など、新自由主義から脱却する抜本的な対策が必要である。
 4月の統一地方選挙の道府県議選挙で女性当選者は史上最多の316人となったが、女性比率はなお14%にとどまっている。日本維新の会共同代表は「365日24時間、常に選挙のことを考える女性はいるか」などと発言したが、政治分野での男女共同参画推進法によるパリテ(男女議員同数化)への政党の本気度が問われる。民意を正確に反映し、女性議員を増やす力ともなる比例代表を中心とする選挙制度への抜本改正も求められる。
 選択的夫婦別姓制度導入、LGBTQ差別禁止法制定や同性婚の法制化など、いずれも賛成世論が多数になっているのに未だ実現していない。それは、自民党と国会・地方議員が自らの支持基盤として、復古的家族像を守るために制度の導入阻止を掲げる統一協会や日本会議などの意向を最優先にしているからである。ジェンダー平等のためにも、統一協会との癒着を一掃するたたかいは引き続き重大な課題となっている。

[Ⅲ]「非核の政府を求める会」の役割発揮へ

(1)「非核の政府を求める会」運動の今日的意義
 今日の内外情勢は、わが会の「非核5項目」の先駆的意義をいよいよ浮き彫りにしている。わが会は、①全人類共通の緊急課題として核戦争防止、核兵器廃絶の実現を求める、②国是とされる非核三原則を厳守する、③日本の核戦場化へのすべての措置を阻止する、④国家補償による被爆者援護法を制定する、⑤原水爆禁止世界大会のこれまでの合意にもとづいて国際連帯を強化する、を非核の日本を実現するための国民的な共同目標=「非核5項目」として掲げてきた。
 わが会はこの立場から、差し迫った今日的課題について、▽TPNW普遍化の流れと軌を一にし、▽日本政府の核依存政策、「核共有論」の不当性を指弾し、▽日米「核密約」を追及、「敵基地攻撃能力保有」の危険性を告発し、▽現下の「黒い雨」訴訟やビキニ被災船に対する冷酷な被ばく行政の転換を求め、▽被爆の実相の発信、TPNWの規範性拡大を追求するなど、政策上、運動上の発展方向を提起してきた。
 「非核5項目」の内容の多くは今日、TPNWの前文および各条文に反映され、それゆえTPNWに参加し、同条約を履行する日本政府が誕生すれば、わが会がめざす「非核の政府」実現への大きな接近となる。
 核兵器禁止・廃絶を求める国民世論・共同は、着実に発展している。日本政府にTPNW参加を求める自治体の意見書・決議採択が652自治体に達している(4月27日現在)ことは、自治体の権能(行政・議会)と市民の良心が結びついた草の根の底力を象徴的に示している。「非核宣言自治体」も、全自治体の93%、1664自治体に上る(5月23日現在、日本非核宣言自治体協議会調べ)。
 世界的に支持・共感を広げる「気候危機」打開や「SDGs」(持続可能な開発目標)実現などの運動は、ともに〝人類全体の生存〟をモチベーションとしており、「核兵器なき世界」の達成をめざす運動が〝人類の未来を守れ〟の一点で多彩な分野の運動と連帯・共同する条件が広がっていることも、政策上・運動上留意すべき大きな変化と言えよう。
 被爆国日本が核兵器禁止条約に参加するいちばんの近道は、岸田自公政権を追い込み、「核兵器禁止条約に参加する政府」を実現することである。
 同時にいま、岸田政権の大軍拡・大増税を許さない国民的共同、憲法守れ!の共同の発展が緊急・重要課題となっている。わが会は主権者国民の要求にもとづく政府の実現を基本的な目標として誕生した組織として、いまこそその役割を発揮するときである。
 わが会は当面、次の諸活動の前進をめざして力を尽くす。

(2)当面の諸課題
 ①「核兵器禁止条約に参加する日本政府」の早期実現めざし、国民的共同を追求
 TPNWの普遍化、規範力強化が国際政治の焦点の一つとなるなか、日本政府に核兵器禁止条約参加を求める国民的な合意形成、世論喚起がいよいよ重要となっている。
 わが会は、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」の推進に力を尽くす。
 わが会は、引き続き、核兵器政策をめぐる日本政府の危険な言動に対して機敏に対処するとともに、非核・平和にかかわる重要問題で政府に要請する。
 「新春メッセージ」、インタビュー等を通じ、各界識者との共同拡大を追求する。

 ②シンポジウム、「核問題調査専門委員会」の活動の充実
 この間、2023年新春シンポジウム「21世紀の国際平和秩序と核兵器禁止条約の〝力〟発揮の道」(1月9日)を開催してきた。引き続き、非核・平和の重要テーマを中心に、シンポジウムや講演会等に取り組む。
 継続的な核問題調査専門委員会活動の調査・研究活動は、わが会の特色をなすものである。この間、TPNW締約国会議やNPT再検討会議の成果をめぐり、外部から講師を招き、各地の非核の会ともオンラインで結んで開催したことなどを教訓に、今後さらに専門委員会活動の質的・量的発展をはかる。「憲法と非核政治」「核物理・核科学史」「国際政治・非核法」等部会設置について検討する。
 〈専門委員会の当面のテーマ〉
 ▽「安保3文書」、▽「敵基地攻撃能力」論、▽「核共有」論、▽日米「核密約」、▽「核抑止力」論、▽日本国憲法と「非核の政府」、▽世界の核兵器状況・核兵器政策、▽米バイデン政権の戦略・核兵器使用政策、▽核兵器条約、▽日本政府の原発・エネルギー政策批判、▽原発事故処理問題、▽放射性廃棄物の処分問題、▽朝鮮半島の非核・平和プロセス。

 ③原水爆禁止2023年世界大会の成功をめざす
 原水爆禁止2023年世界大会が8月4日~9日、被爆地の広島・長崎の現地参加を中心に、オンライン参加と併用で開かれる。今年の世界大会は、侵略戦争と核の威嚇、軍事ブロック拡大を許さず、紛争の平和的解決と平和・核兵器廃絶の流れが各国でも国際政治の舞台でも大きく立ち上がるなかでの大会となる。NPT第11回再検討会議第1回準備委員会(7/30~8/11)に連帯し、TPNW第2回締約国会議(11/27~12/1)の成功に向けて被爆国の市民社会のメッセージを発信し、内外の世論と共同を広げる大会となる。
 わが会は、日本政府にTPNW参加を求める世論形成の節目ともなる世界大会が大きく成功するよう、取り組みを強める。

 ④被爆者支援・連帯活動の推進
 TPNWが発効したもとで、〝被爆者の国家補償を〟〝現行の認定制度の抜本的改正を〟という被爆者の要求の速やかな実現のために、被爆者運動への支援・連帯を強めることがますます重要となっている。
 「黒い雨」訴訟に対し、日本政府は、原告全員を被災者と認定した広島高裁判決を蹂躙して認定要件に疾病条件を加えて被爆者を分断し、高齢の被爆者に耐えがたい負荷を強いている。わが会は、政府の改心なき冷酷な被ばく行政に強く抗議する。ひきつづき原爆被災者全員の救済を求める運動に連帯し、支援を強める。

 ⑤非核宣言自治体協議会、平和首長会議はじめ非核自治体運動との連帯・共同強化
 非核自治体宣言運動、非核・平和自治体行政の発展を引き続き追求するとともに、「核兵器禁止条約を支持し、日本政府に署名を求める」意見書採択など、自治体から合意と共同を広げる。
 平和首長会議、日本非核宣言自治体協議会との連帯・共同を発展させる。

 ⑥ホームページのリニューアル、発信力の充実
 昨年来取り組んできたホームページのリニューアルを完了させ、情報発信力を高める。

 ⑦「非核の政府を求める会ニュース」の紙面改善
 「非核の政府を求める会ニュース」の普及に努める。同紙の情報発信力向上に向けて、紙面改善をはかる。