非核「神戸方式」50周年
日米安保体制に風穴あけ非核日本を先導 2025.2.15

梶本 修史さん 兵庫県原水爆禁止協議会事務局長・非核の政府を求める兵庫の会常任世話人

 核兵器を積んだ軍艦の入港を許さない非核「神戸方式」が実施されて50年になります。

 神戸港は戦後すぐ米軍に全面占領され、米軍の補給・輸送・慰安基地として朝鮮戦争、ベトナム戦争で大きな役割を担わされました。この時期には年間100隻を越える米艦が寄港し、繁華街では、米兵の発砲事件、買春行為、市民への暴行事件などが頻発しました。
 港湾労働者と神戸市民の粘り強い闘いで米軍基地が全面返還されたのは1974年8月。同年10月、ラロック元米海軍提督の日本への核兵器持ちこみ証言が明らかになり、神戸市議会は全会一致で「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を採択します(1975年3月18日)。この決議を受けて、神戸港の管理者・神戸市が、神戸港に入港を希望する外国艦艇に、核兵器を積んでいない証明書(非核証明書)提出を義務づけ、提出がないと入港を認めない手続きを決めました。これまで8カ国21隻の艦艇が非核証明書を提出して入港しており、これが非核「神戸方式」です。他方、非核「神戸方式」開始から50年、米軍艦は一隻も入港しなくなりました。1975年~2023年に、米艦は神戸港以外の一般港65港に892回も入港しているのにです。
 米国は、核兵器の有無を明らかにしない政策を執っているために、核兵器がない証明(非核証明書)を提出できないからです。

 非核「神戸方式」は、①国是とされる非核三原則(核兵器を作らず、持たず、持ち込ませない)を自治体の措置で、実効あるものにした、②港湾の管理権が自治体にある(自治体にしかない)という日本の制度の特質を生かした、③米軍艦のみを入港禁止の対象にするのではなく、国民の総意である「核兵器反対」を実行する、④憲法の重要な柱の一つ、地方自治の原則に基づく施策、などの特質を持ちます。戦後日本は、侵略戦争の反省から、徹底した平和主義の日本国憲法を定めたが、同様の精神で、日本の港湾は、国家管理をやめて地方自治体管理とすることを地方自治法、港湾法で定めました。神戸市は、「港湾施設条例」で、非核証明書の提出を義務づける入港の手続き、行政措置を執りました。
 中曽根首相(当時)も、「それは地方自治体の本旨に基づいて神戸の市長及び市議会がとっておる一つのやり方でありまして、それはそれとして我々はよく理解できるところであります」「自治体は自治体の固有の自立権がございますから、法律の範囲内において行うことについては我々もできるだけ協力するのが筋であろうと思います」(84年3月17日・参院予算委員会)と述べています。
 21世紀の国連と国際社会のあり方を検討する国連NGOミレニアム・フォーラム(2000年5月)は、「世界の政府が実施すべき措置」として、非核を証明しないと軍艦を入港させないという、「神戸方式」と同様の方法を実施するように提唱しました。2017年7月に採択された核兵器禁止条約にも、核兵器の移動(持ち込み)を禁止することが明記された、つまり、非核「神戸方式」は国際法となったのです。

 これまでも、自衛隊幹部が、「神戸方式が他の自治体に波及することを懸念している」「入港拒否の牙城である神戸に入れば、全国どこでも寄港できる」などと発言しています。神戸港は、米軍の戦略にとって欠かすことの出来ない日本有数の重要な機能、役割を持ちながら、非核「神戸方式」によって使用できない、入港すらできない、それどころか神戸港以外の港にも波及する可能性があることへの危惧が表明されているのです。
 非核「神戸方式」という一地方自治体の措置は、世界最大最強の軍事大国で、国連や世界の世論を無視してでも軍事行動を強行する米国に対して、制約となるほどの力をもっているのです。
 私たちが、非核「神戸方式」を守り抜き、自治体の独自の権限で実施可能な非核「神戸方式」を全国に広げられるなら、日本を米軍の出撃基地にしようとする企みを止める有効な足場を築けるということです。
 だからこそ非核「神戸方式」への攻撃、圧力の大きさは、想像を超えるものです。
 1999年11月、駐日米大使が兵庫県、大阪府の地方議員を集め、「在任中に、米軍艦艇が神戸港に寄港することが願い」と発言。それに続いて駐大阪・神戸総領事、海軍長官、第7艦隊司令など次々と同様の発言を重ねます。米大使が神戸港進出と称して米企業16社の代表を引き連れ来神。総領事が「米艦船が入港できないと反米的と誤解され、ビジネス面でマイナス」と発言。大震災で深刻な経済打撃を受けた神戸市の足元につけこむような卑劣な圧力をかけました。これらの攻撃に続いて、兵庫県が管理者の姫路港に米軍艦が2度(2001年、03年)も入港を強行したのです。
 沖縄・辺野古の米軍新基地建設は、地方自治を破壊する「代執行」を発動してまで強行されています。非核「神戸方式」に対しても、最近は、自民党神戸市議、維新兵庫県議、NHK党参院議員が、非核「神戸方式」は、「国の専決事項たる外交や安全保障を侵害する」違法なものと攻撃します。憲法、地方自治を守る闘いの重大な局面にあります。

 2020年春、韓国の平和団体SPARK(平和と統一を拓く人々)代表10人が神戸港を訪れました。韓国最大の港湾で米軍基地の拠点でもある釜山港に非核「神戸方式」を適用したいという。釜山港を非核の港湾にして、非核の神戸港と連携して非核・平和の朝鮮半島、北東アジアづくりの橋頭保にしたいとの思いでもあります。非核「神戸方式」50周年の企画として、「非核平和の北東アジアと非核『神戸方式』」との国際パネル討論会を行います。日本、韓国、フランス、神戸市の4代表によって、50年も続く神戸の平和の努力を、北東アジアに広げる-「北東アジア地域自治体連合」の新しい活用など、非核・平和な北東アジア・日本づくりの可能性を探る国際共同の討論会です。核兵器禁止条約に日本政府を参加させる運動と合わせて、非核「神戸方式」の力を発揮することを願っています。