非核の政府を求める会は6月3日、オンラインを併用して東京都内の会場で第37回全国総会を開き、国民のみなさんへのアピール「〝核の威嚇糾弾!岸田政権の戦争する国づくりを許すな!『非核の政府を』〟の声さらに大きく」を発表しました。


国民のみなさんへのアピール
「〝核の威嚇糾弾!岸田政権の戦争する国づくりを許すな!『非核の政府を』〟の声さらに大きく」

非核の政府を求める会第37回全国総会(202.6.3)

 国民のみなさん
 この5月、被爆地広島で初めて主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)が開かれました。テレビも大新聞も岸田文雄首相のパフォーマンスを大きく報じました。しかし、広島サミットの内容が明らかになるにつれ、失望感、怒りを覚えた方が少なくないのではないでしょうか。発表された「G7広島ビジョン」は、核兵器禁止条約の存在を無視する一方、核兵器のない世界の実現を「究極の目標」として先送りし、核兵器は「防衛目的のために役割を果たす」と核兵器の使用を前提とした核抑止力論を公然と宣言しました。被爆者に対する許しがたい冒瀆です。広島の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さんは「失敗だった」「胸がつぶれるようです。死者に対する大きな罪だと思う」と痛烈に批判しました。G7サミット議長である岸田首相の責任は極めて重大です。
 私たちは、本日、第37回全国総会を開催し、あらためて「核兵器禁止条約に参加する政府」「非核の政府」の実現をめざす決意を固めあいました。被爆者とともに核兵器の非人道性を内外に広く発信し、核兵器のない世界の一日も早い実現に向けて力を合わせようではありませんか。

 みなさん
 岸田政権は、「安保3文書」で憲法違反の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)保有を明記し、5年間で43兆円もの大軍拡計画を盛りこんで、世界第3位の軍事大国に突き進もうとしています。歴代政権が安保政策の基本としてきた「専守防衛」も投げ捨てて、米軍の指揮下で長距離ミサイルなどで周辺国を威嚇することなど、断じて許されません。日本の軍事力強化・大軍拡は、核兵器保有国である中国やロシア、北朝鮮などとの緊張を高め、軍事衝突の危険を増大させます。アメリカの軍事戦略につき従って、核軍事ブロックでの対抗を強めれば、核兵器による壊滅的な結末を誘発しかねません。
〝軍事対軍事〟では平和は築けません。ASEAN(東南アジア諸国連合)は、あれこれの国を排除するのではなく、包摂する平和の枠組みづくり、外交努力に傾注しています。憲法9条を持つ日本こそ、戦争の準備ではなく、平和の準備に力を尽くし、外交努力によって日本と東アジアの平和と安定をつくりだすべきです。
いまこそ、「戦争する国づくり」も、そのための改憲策動も許さない世論と行動を草の根から大きくまき起こすときです。市民と野党の共闘を強め、戦後最悪の岸田政権を退陣に追いこみ、国民の要求にもとづく新しい政治を実現しようではありませんか。

 みなさん
 「核兵器なき世界」の実現をめざす世界の流れは、この1年、注目すべき進展をみせています。昨年6月の核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議には80ヵ国を超える国と地域が参加して、「ウィーン宣言」と「行動計画」を採択し、TPNWの規範力の強まりを示して画期的な成功をおさめました。「ウィーン宣言」は、核兵器廃絶の緊急性を正面から訴えるとともに「核抑止論」を真っ向から批判しました。「行動計画」は50項目にわたって同条約を実現していくための具体的な道筋を明示しています。「ウィーン宣言」と「行動計画」の採択は、まさにTPNWの生命力の表れと言えましょう。
8月の核不拡散条約(NPT)再検討会議でも、多数の政府代表が核兵器国の核廃絶合意不履行の責任を厳しく問い、核兵器国を防戦一方に追い詰めました。注目すべきは、同再検討会議の最終文書案にTPNWの存在を「認識する」との文言が最後まで残ったことです。核保有国を含めてTPNWの存在については一般的な合意があると言えましょう。これはまた、核保有国のTPNW反対理由の破綻を示すものです。今後の核廃絶をめぐる国際社会の論議を新たな段階に押し上げるにちがいありません。

 みなさん
 このとき、日本政府が世界の流れに逆行していることは重大です。岸田政権は被爆国の政府でありながら昨年のTPNW第1回締約国会議へのオブザーバー参加さえ拒否して、参加各国、市民社会から厳しい批判を浴びせられました。また、昨秋の国連総会でも、TPNW参加を促す決議案に5年連続で反対票を投じて世界を唖然とさせました。被爆者や国民への背信と言わざるをえません。原爆投下後の「黒い雨」被害者の救済に背を向けていることも重大です。国民の意思は明白です。世論調査で「TPNW参加」を望む声は7割にのぼり、政府にTPNW参加を求める自治体意見書・決議採択は4割近くに達しています。岸田政権が米国の「核の傘」による「拡大抑止」に依拠し続けるのであれば、私たち国民の声と運動で、「TPNWに参加する政府」「非核の政府」の実現をめざそうではありませんか。

 みなさん
 岸田政権は5月31日、自民・公明・維新・国民の賛成を得て、「GX脱炭素電源法」を強行成立させました。原則40年とする老朽原発の運転期間を60年、70年へと延長し、既設原発の再稼働促進、「次世代革新炉」の新設、さらには原発の活用を「国の責務」としています。福島第一原発事故の反省と教訓を踏みにじるばかりか、大手電力会社や原子力メーカー言いなりに原子力産業を手厚く支援・保護するものであり、断じて容認できません。「原発の新増設、再稼働は許さない!」「原発ゼロ基本法の実現を」の声を広げましょう。

 国民のみなさん
 広島と長崎への原爆投下から78年、原水爆禁止2023年世界大会が8月4日~9日、被爆地の広島・長崎で、現地参加を中心にオンライン併用で開催されます。今年は、世界大会と並行して2026年NPT再検討会議第1回準備委員会がウィーンで、9月からは第78回国連総会が、また11月末にはTPNW第2回締約国会議がニューヨークの国連本部でそれぞれ開かれます。これらの会議を節目として、核保有国に核廃絶合意の履行を迫り、TPNWの規範力をいかに強めるかに国際社会の耳目が集まっています。
2023年世界大会を大きく成功させ、世界の市民社会の声と行動の結集を呼びかけ、被爆の実相、核兵器の非人道性をさらに強く発信して、核兵器のない平和で公正な世界を実現するためにごいっしょに力を合わせましょう。


2023年6月3日
非核の政府を求める会第37回全国総会