核兵器禁止条約に参加し、被害者支援の役割発揮を
第79回国連総会に向けて日本政府に要請(24.9.11)

=9月11日、外務省
第79回国連総会がニューヨークで開かれるにあたって、非核の政府を求める会は9月11日、外務省を訪れ、日本政府への申し入れを行いました。
要請の内容は、▽今夏の広島、長崎「平和宣言」を踏まえて核兵器の非人道性を訴え、核兵器禁止条約(TPNW)に批准・署名する▽同条約第3回締約国会議に参加し、被爆者・核被害者支援へ役割を発揮する▽「核抑止力」依存政策から脱却し、一日も早い核兵器廃絶を求める決議案を提案すること▽「非核3原則」の厳守と「日米核密約」破棄――の4項目です。
申し入れには、佐々木悦子(日本医労連委員長)、野口邦和(元日本大学准教授)、平野恵美子(新日本婦人の会副会長)の各常任世話人と川村好伸事務室長が参加。笠井亮日本共産党衆院議員(同会常任世話人)が同席しました。
外務省は深澤陽一外務大臣政務官らが応対。深澤政務官は、要請を「誠実に受け止める」「TPNW参加をという声があることは承知している」としつつ、「TPNWに核保有国は一国も入っていない」と参加を拒むとともに、「核抑止力」に関する従来の見解を繰り返しました。
参加者からは、来年3月のTPNW第3回締約国会議で核被害者支援、環境改善がテーマになることから、今年の国連総会に提案する「日本決議案に核被害者支援の記述を」と重ねて要請。「拡大抑止という戦争への道は許されない」「第3回締約国会議にオブザーバー参加して被爆国の役割を」「国連総会第1号決議は核兵器及び大量破壊兵器の廃絶。被爆80年にむけ根本姿勢の転換を」と強く求めました。深澤政務官は、ODAによるカザフスタンのセミパラチンスクでの核実験被害者への支援に触れつつ、日本決議案については「受け止めて検討する」と述べました。
第79回国連総会に向けての申し入れ(全文)
第79回国連総会が、まもなくニューヨークの国連本部で開かれます。ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略が続き、イスラエルのガザ攻撃が深刻化するもとで、核使用の現実の危険が生まれている中で迎える国連総会となります。新型コロナウィルスのパンデミックの影響、貧困と格差の拡大、加速する気候危機など、人類と地球の持続可能な未来にとって課題は山積しています。国連総会の冒頭に開かれる「未来サミット」の議論も、課題を解決しSDGsのとりくみを前進させながら次の目標を展望するものです。来年の国連創設80年、広島・長崎への原爆投下から80年という大きな節目に向かって、国連憲章のもとに国際社会が結束し、国際法、国際人道法にもとづいた核兵器も戦争もない平和で公正、持続可能な社会づくりへ、連帯と共同を深めるときです。
7月22日から開かれた核不拡散条約(NPT)第2回準備委員会で国連の中満泉事務次長・軍縮担当上級代表は、「核兵器で絶滅する脅威は核兵器が存在する限りなくならない」と指摘しました。議論の中でもロシアが核兵器使用を想定する軍事演習を繰り返し、米英仏中などの核保有国が核兵器の増強を進めていることへの危惧を表明する発言が相次ぎました。先のNATO首脳会議は「核抑止力」の強化を宣言しましたが、核兵器の使用を前提とした「核抑止力」は、安全保障に役立つどころか、緊張と対立、核軍拡競争につながりかねません。気候危機や貧困・格差の是正など切迫した課題に直面する今、軍備や核兵器に莫大なお金を使っている場合でしょうか。
8月6日と9日、広島と長崎の両市長は核兵器の非人道性を訴え、「核抑止力」からの脱却と、日本政府に核兵器禁止条約(TPNW)への参加を呼びかけました。TPNW発効から3年半余、批准は70ヵ国、署名は93ヵ国へと広がり、昨年の国連総会では、TPNW締約国会議開催を歓迎する決議に国連加盟国の約6割にあたる123ヵ国が賛成しました。ところが岸田政権は、被爆国の政府でありながら同国連決議にも6年連続で反対し続けたうえ、アメリカの「核の傘」を含む拡大抑止について日米閣僚協議を行い、「核抑止力」をさらに強化しようとしていることは重大です。
いま日本政府がなすべきことは、戦争の準備ではなく、平和のための外交に力を尽くすことです。来年被爆80年を迎えるいまこそ、アメリカの「核の傘」から離脱してTPNWへの参加を表明し、被爆の実相を通じて核兵器の非人道性を世界に訴えるべきです。核保有国に対し、NPTの第6条をはじめこれまでに合意した核軍縮の約束の履行を求めるべきです。
当会は、第79回国連総会において貴職が、唯一の戦争被爆国であり、憲法9条を持つ日本の政府にふさわしい役割を果たされるよう、以下のとおり要請します。
【要請項目】
○来年の被爆80年に向けて、広島・長崎の平和宣言を踏まえ、核兵器の非人道性を強く世界に訴え、一刻も早く同条約に署名・批准すること。
○核兵器禁止条約第3回締約国会議に参加し、被爆者・核被害者支援などを明記した同条約第6条、7条の具体化に向けて積極的な役割を発揮すること。
○「核抑止力」依存政策からの脱却を宣言し、一日も早い核兵器廃絶を求める決議案を提案するとともに、同趣旨の諸決議案に賛成票を投じること。
○非核三原則を厳守し、日米「核密約」を破棄すること。
2024年9月11日
内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
外 務 大 臣 上川 陽子 殿
