核禁条約第2回締約国会議に参加し被爆国としての役割発揮を

核禁条約第2回締約国会議に向けて日本政府に要請(23.11.13)


政府に要請を行う非核の政府を求める会の代表ら
=11月13日、外務省

 非核の政府を求める会は11月13日、核兵器禁止条約第2回締約国会議に向けた日本政府への申し入れを行いました。
 要請内容は、▽核禁条約への署名・批准、少なくとも第2回締約国会議にオブ参加し、被害者支援など国際協力での役割発揮、▽第2回締約国会議にあたり内外での被爆の実相を周知する取り組み支援――など4項目。
 要請には、佐々木悦子(日本医労連中央執行委員長)、斎藤俊一(同会前事務室長)、野口邦和(元日本大学准教授)の各常任世話人と川村好伸事務室長が参加。笠井亮日本共産党衆院議員(同会常任世話人)が同席しました。
 外務省からは深澤陽一外務大臣政務官らが対応。「核兵器禁止条約は〝核なき世界〟への出口として重要な条約と認識している」「出口に向けて道筋をつけるために努力する」としつつ、「核禁条約に核兵器国は1ヵ国も参加していないので日本は参加できない」「日本の安全保障上、米国の拡大抑止は不可欠だ」などと従来の見解を繰り返しました。
 会の代表は、「被爆者治療などの知見を活かした国際協力こそ橋渡しの役割」「出口にむけた道筋をつけるためにもオブ参加すべき」「いざという時には使うと脅す核抑止力は、軍事対軍事の悪循環を招く」と発言し、日本政府が被爆国にふさわしい役割を果たすよう重ねて強く求めました。


核兵器禁止条約第2回締約国会議に向けての日本政府への申し入れ(全文)

 

 核兵器禁止条約(TPNW)が2021年1月に発効してから2年9ヵ月余、批准国は69ヵ国、署名国は93ヵ国へと着実に広がっています。
 昨年6月に開かれた第1回締約国会議には、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツやノルウェー、オランダ、ベルギーがオブザーバー参加し、「核兵器なき世界」という目標には共感を示し、対話の重要性を訴えました。米国との軍事条約(ANZUS)に加盟するオーストラリアもオブザーバー参加しました。画期的な「ウイーン宣言」と「行動計画」が全会一致で採択され、この間、作業部会で第6条、7条にもとづく核被害者・被爆者への支援活動が実際に始まっています。
 今回の第2回締約国会議では、TPNWの国際条約としての規範力をさらに強化し、核兵器禁止・廃絶の流れをいっそう加速させることに、世界が注目し期待を寄せています。
 今年開かれた核不拡散条約(NPT)第11回再検討会議第1回準備委員会や国連総会第1委員会では、TPNWの存在を拠り所にして締約国や多くの非核保有国が、核兵器使用を前提にした「核抑止力」を厳しく批判しました。加えて、核兵器の使用・威嚇を防ぐ唯一の確実な保証は核兵器廃絶であると主張し、NPT第6条、2000年、2010年の合意の履行を求めました。10月27日の国連総会第1委員会では、TPNW参加を促す決議案が124ヵ国の圧倒的賛成で採択されています。
 このとき、日本政府はあろうことか、核保有国などとともに同決議案に反対しました。日本政府にTPNW署名・批准を求める署名は141万筆を超え、自治体決議は671となっています。日本政府も「TPNWに反対しているわけではない。重要な条約だと認識している」と表明しているからには、核兵器禁止・廃絶を求める流れを加速させるため、誠実に足を踏み出すべきです。
 いま、唯一の戦争被爆国の日本政府に求められることは、核兵器使用による壊滅的・非人道的な結末を体験した国として、「核抑止力」をきっぱり否定し、核保有国に核軍備縮小・撤廃約束の履行を求めることです。「戦争の準備」ではなく、外交と対話による戦争を起こさせない努力です。
 当会は、日本政府が一日も早くTPNWへの参加を決断することをはじめ、第2回締約国会議に向けて憲法9条を持つ国の政府にふさわしい役割を果たされるよう、以下のとおり要請します。

【要請項目】

  • 核兵器禁止条約に署名・批准すること。少なくとも、第2回締約国会議にオブザーバー参加し、広島高裁の「黒い雨」判決も踏まえた被爆国の知見を活かして被害者支援・環境修復の活動に国際的な役割を果たすこと。
  • 第2回締約国会議にあたり内外での被爆の実相を周知する取り組みを支援・援助すること。
  • 核兵器使用を前提とする「核抑止力」依存政策からの脱却を国際社会に宣言すること。
  • 非核三原則を厳守し、日米「核密約」を破棄すること。           

以 上

           
2023年11月13日

内閣総理大臣 岸田文雄殿
外務大臣 林 芳正殿